心停止と脳内アミノ酸の変動に関する実験的研究

脳虚血において大脳前頭葉皮質, 海馬CA_1 領域, 線条体は脆弱な部位とされており, これには神経伝達物質としてのアミノ酸であるグルタミン酸, アスパラギン酸などの関与が示唆されている. 今回われわれは心停止の発症機転の相異による脳内アミノ酸代謝を検索する目的でマイクロダイアリシス法を用い, 脳内細胞間隙のアミノ酸をin vivoで測定した. 体重平均300gのwistar系雄性ラットを用い, イソフルレン麻酔下に気管切開・気管内挿管し, パンクロニウム投与後100%酸素にて調節呼吸を施行, Paco_2 を35~40torrに調整した. その後大脳前頭葉皮質・海馬CA_1 領域・線条体にP...

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Hauptverfasser: 飯塚亨, 室園美智博, 松波紀之, 草谷洋行, 渡辺省五, 畑山聖, 石井脩夫, 横山秀男, 三宅有
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳虚血において大脳前頭葉皮質, 海馬CA_1 領域, 線条体は脆弱な部位とされており, これには神経伝達物質としてのアミノ酸であるグルタミン酸, アスパラギン酸などの関与が示唆されている. 今回われわれは心停止の発症機転の相異による脳内アミノ酸代謝を検索する目的でマイクロダイアリシス法を用い, 脳内細胞間隙のアミノ酸をin vivoで測定した. 体重平均300gのwistar系雄性ラットを用い, イソフルレン麻酔下に気管切開・気管内挿管し, パンクロニウム投与後100%酸素にて調節呼吸を施行, Paco_2 を35~40torrに調整した. その後大脳前頭葉皮質・海馬CA_1 領域・線条体にPaxinos and Watsonの脳図譜に従いマイクロダイアリシスプローブを刺入し, リンゲル液を2μl/minの速度で灌流した. 急速脱血による心停止群ではアスパラギン酸は心停止15分後から増加し, 経時的に漸増した. グルタミン酸は心停止15分後から増加し, 特に線条体において著明であった. グリシン・タウリン・GABAはすべて経時的に増加し, 特にGABAは海馬および線条体において著しく増加した. 呼吸停止による心停止群では急速脱血による心停止群と比べ, アスパラギン酸は類似した増加傾向を示し, グルタミン酸は軽度増加した. GABAは海馬において著しく上昇した. 今回の結果から心停止後早期の脳蘇生がアミノ酸の増加を抑制する可能性が推測され, 今後検討する予定である.
ISSN:0288-4348