広域医療圏におけるDOA患者に対するドクターズカーの有用性についての検討

当院救命救急センターは福島県会津地方にあり, 北は80km, 南は130kmという遠方からの救急患者をも収容する広域医療圏に属する. このため, 救急患者の搬送に多大な時間がかかる場合も多く, 初期治療開始時間を短縮することにより救命率の向上が期待できる. そこでわれわれは, 1986年11月よりドクターズカーを導入し, 二次救命救急処置までの時間短縮を図っている. 今回はこのドクターズカーシステムの有用性を確認するために, DOA症例について, 消防署救急車搬送例とドクターズカー出動例の比較を行い, また, その運用上の問題点について検討したので報告した. 1986年11月から1991年8月...

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Hauptverfasser: 島田二郎, 菊池恵子, 川前金幸, 勝見敦, 大友康裕, 牧野俊郎, 管桂一, 奥秋晟
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:当院救命救急センターは福島県会津地方にあり, 北は80km, 南は130kmという遠方からの救急患者をも収容する広域医療圏に属する. このため, 救急患者の搬送に多大な時間がかかる場合も多く, 初期治療開始時間を短縮することにより救命率の向上が期待できる. そこでわれわれは, 1986年11月よりドクターズカーを導入し, 二次救命救急処置までの時間短縮を図っている. 今回はこのドクターズカーシステムの有用性を確認するために, DOA症例について, 消防署救急車搬送例とドクターズカー出動例の比較を行い, また, その運用上の問題点について検討したので報告した. 1986年11月から1991年8月までの間に当院に搬送されたDOA症例は472例である. このうち消防署救急車搬送例は372例, ドクターズカー出動例は100例であった. なお今回は, 病院到着時あるいはドクターズカードッキング時に心電図上心停止で, 更に呼吸停止の症例をDOAとした. 搬送時間を約2/3に短縮でき, その結果, 社会復帰例において, 救急隊搬送例が, 4例, 1.1%に対し, ドクターズカー出動例は4例, 4%と有意に社会復帰率の上昇が認められた. なお, 社会復帰例は, 救急車搬送例が, 低体温, 心筋梗塞, 溺水, 窒息で, ドクターズカー出動例が, 心筋梗塞, 脳内出血, 交通外傷, 薬物中毒であった. ドクターズカー運用上の問題点としては, 24時間体制を維持するための人員確保の問題, 救急隊のドクターズカー要請の判断力の問題, 医療機器を駆動するバッテリーや無線連絡などドクターズカーの機能の問題などが考えられた. ドクターズカーの運用により搬送時間の短縮および社会復帰率の上昇が得られたが, 更に救命率をあげるべく, ドクターズカーの同時出動や地方の中核2次病院との協力体制作りおよび種々の問題点の解決など今後も努力が必要と思われた.
ISSN:0288-4348