低酸素時のチアミラールとハロセンの細胞レベルでの肝庇護作用の比較

酸化的代謝は自由エネルギーの主な産生源であり, 呼吸鎖の最終電子受容体である酸素が欠乏すれば, ミトコンドリア(Mt)呼吸は停滞しエネルギーチャージ(EC)は低下し, 細胞はやがて崩壊壊死に至る. これまで, in vivoで低酸素症時の肝Mtの酸素欠乏状況を知る指標として, 肝酸素需給動態と動脈血中ケトン対比(KBR)の測定を利用してきたが, 今回はイヌを使用した実験から, 低酸素刺激に対する反応の指標としての血中カテコールアミン(CA)値と肝酸素需給動態, KBRとの関連を比較した. 調節呼吸下に窒素と空気でF_I _O2 0.21から0.08に次第に低下させ, この間にチアミラール20~...

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Hauptverfasser: 村上康郎, 宮崎孝, 黒木恭子, 佐藤智子, 松本延幸, 松本勲, 堀孝郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:酸化的代謝は自由エネルギーの主な産生源であり, 呼吸鎖の最終電子受容体である酸素が欠乏すれば, ミトコンドリア(Mt)呼吸は停滞しエネルギーチャージ(EC)は低下し, 細胞はやがて崩壊壊死に至る. これまで, in vivoで低酸素症時の肝Mtの酸素欠乏状況を知る指標として, 肝酸素需給動態と動脈血中ケトン対比(KBR)の測定を利用してきたが, 今回はイヌを使用した実験から, 低酸素刺激に対する反応の指標としての血中カテコールアミン(CA)値と肝酸素需給動態, KBRとの関連を比較した. 調節呼吸下に窒素と空気でF_I _O2 0.21から0.08に次第に低下させ, この間にチアミラール20~30mg/kg/hを点滴投与した群(B群)と, ハロセン1~1.5MACを吸入させた群(F群)とを比較した. 肝酸素需給動態の指標として電磁流量計で測定した肝動脈, 門脈血流量と動脈血, 門脈血, 肝静脈血の酸素含量から, 肝酸素供給量(Dhep_O2 ), 消費量(Vhep_O2 )とその比を算出した. 血中CA値はエピネフリン(E)およびノルエピネフリン(NE)について測定し, 肝ECの指標としてKBRを測定した. HABFは両群間で差は見られなかった. PVBFはF_I _O2 , 0.15~0.10の時, B群で有意に高く維持された. Dhep_O2 は両群間に有意な差はなかった. Vhep_O2 も有意な差はなかったもののF群で低い傾向を示した. KBRはF_I _O2 , 0.08の時, B群で有意に高く維持された. 血中CAの動きは, F群では低酸素の増強につれE, NEが急激に上昇したのに対して, B群では上昇が抑制され特にNEではF_I _O2 0.08の時, 有意な差が生じた. 以上のことより, ハロセン麻酔では, 肝循環, 肝酸素代謝を悪化させ肝ECを低下させるのに対して, バルビタール麻酔では少ない酸素供給を肝ECの保持に有効に利用し, 更に適切な深度の麻酔を維持することによって, 低下したMt呼吸および酸化的燐酸化を改善し, 肝Mtのredox stateを良く保ちうる可能性が示唆された.
ISSN:0288-4348