DOA(来院時心肺停止)症例に対する心肺蘇生装置“Thumper”の使用経験

高齢者の増加と救急医療体制の充実につれてDOA状態で搬送される患者は増加する一方である. 心肺蘇生に要する労力は比較的大きく, マンパワーの少ない時は満足な心肺蘇生ができないこともある. 心肺蘇生装置Thumper(以下サンパ)は心マッサージと人工呼吸の2人分の労力削減を目的に開発され, 欧米では積極的に使用されているが, 本邦ではあまり普及していない. 今回, 本装置を使用する機会を得たので若干のデータを示し報告する. 対象は成人のDOA患者11名で, 心静止症例とした. 患者入室と同時に気管内挿管を行い, サンパを装着した. 心マッサージは70回/分(胸骨下降4~5cm)で5回に1回の割合...

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Hauptverfasser: 岩間裕, 勝見敦, 鴫原晃, 木村昭夫, 川前金幸, 奥秋晟
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:高齢者の増加と救急医療体制の充実につれてDOA状態で搬送される患者は増加する一方である. 心肺蘇生に要する労力は比較的大きく, マンパワーの少ない時は満足な心肺蘇生ができないこともある. 心肺蘇生装置Thumper(以下サンパ)は心マッサージと人工呼吸の2人分の労力削減を目的に開発され, 欧米では積極的に使用されているが, 本邦ではあまり普及していない. 今回, 本装置を使用する機会を得たので若干のデータを示し報告する. 対象は成人のDOA患者11名で, 心静止症例とした. 患者入室と同時に気管内挿管を行い, サンパを装着した. 心マッサージは70回/分(胸骨下降4~5cm)で5回に1回の割合で換気(換気圧40cmH_2 O)されるように設定した. また, 右鎖骨下静脈より中心静脈を確保し, 大腿動脈に観血的圧モニターを設けた. 5例でサンパ使用時と用手心肺蘇生時の大腿動脈圧を比較したが, サンパの方が同等またはそれ以上と評価できた. また, サンパを30分使用し使用直後と30分後のPa_O2 , S_V _O2 の変化をみたが, 一定の傾向は得られなかった. なお, 今回の症例では蘇生に成功した例はなかった. サンパによる心肺蘇生が用手心肺蘇生に優るか否かに関しては, 賛否両論あり一定の見解は得られていない. 熟練した医師による用手心肺蘇生は理想であるが, 今回の経験より, サンパでも十分な効果が期待でき, 蘇生が長時間にわたる場合, マンパワー不足時, 野外現場での使用などには有効ではないかと思われた. 今後, ドクターズカー内での心肺蘇生に応用していきたいと考えている.
ISSN:0288-4348