手術導入時, 緊急気管切開となった2症例
麻酔導入時に緊急気管切開を必要とした2症例を経験した. 36歳, 女性. 頸部食道癌の転移による頸部腫脹, 嗄声を主訴として入院した. 病変部は咽後膿瘍を形成し, 気道閉塞の恐れがあり, 切開排膿を目的に緊急手術となった. 挿管困難が予想され, 意識下挿管を試みたが, 下咽頭, 喉頭蓋の腫脹のため, 声帯は確認できなかった. 更に膿瘍の破裂の危険性も高く, 粘膜腫脹による上気道閉塞の可能性を考慮して, 局所麻酔下に気管切開を行った. 55歳, 男性. 甲状腺部の腫脹, 嗄声, 呼吸困難を主訴として入院, 過去に舌癌切除術, 左右の頸部郭清術を施行していた. 甲状腺部腫瘤に対する生検術が予定され...
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Zusammenfassung: | 麻酔導入時に緊急気管切開を必要とした2症例を経験した. 36歳, 女性. 頸部食道癌の転移による頸部腫脹, 嗄声を主訴として入院した. 病変部は咽後膿瘍を形成し, 気道閉塞の恐れがあり, 切開排膿を目的に緊急手術となった. 挿管困難が予想され, 意識下挿管を試みたが, 下咽頭, 喉頭蓋の腫脹のため, 声帯は確認できなかった. 更に膿瘍の破裂の危険性も高く, 粘膜腫脹による上気道閉塞の可能性を考慮して, 局所麻酔下に気管切開を行った. 55歳, 男性. 甲状腺部の腫脹, 嗄声, 呼吸困難を主訴として入院, 過去に舌癌切除術, 左右の頸部郭清術を施行していた. 甲状腺部腫瘤に対する生検術が予定された. 頸部伸展障害, 開口制限があり, 挿管困難が予想された. 左側反回神経麻痺, 気管の狭窄が存在することから, 局所麻酔下の気管切開の適応と考えられたが, 家族の同意が得られなかった. フェンタニールと局所麻酔の併用で手術を開始したところ, 上気道閉塞を起こし, 経口気管内挿管を試みたが成功せず, 動脈血酸素飽和度の低下, 徐脈を呈するに至り, 緊急気管切開を施行した. 術前より上気道の狭窄が存在しており, 挿管困難が予測されるような症例においては, 気道確保の方法について慎重でなければならない. 気管切開の適応は厳密であるべきものと考えるが, 症例1のように, 経口気管内挿管の操作そのものが上気道閉塞を招く危険性が高い場合には, 局所麻酔下の気管切開が最も安全かつ確実な気道確保法と考えられた. 症例2においては, 気管切開に対する家族の同意が得られていなかったが, 挿管困難症例においては術前より気道の確保法についても, 麻酔科医, 術者, 患者の間で十分な理解が得られていなければならないことが再確認された. |
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ISSN: | 0288-4348 |