脳虚血後の脳水分含量および局所脳血流量に及ぼすONO-1016の影響
脳浮腫治療薬の多くは利尿作用を有し, しばしば治療中に循環動態や水・電解質バランスの異常を来すことがある. 新しく開発されたONO-1016は, 利尿作用がなく, 細胞膜のCl^- /HCO_3 ^- イオン透過性を選択的に抑制し, 二次的にNa, 水の細胞内への移行を抑制する作用を持ち, 脳浮腫治療薬として期待される. 本研究は, 脳卒中易発症高血圧ラット(SHR-SP)を用い, 一過性脳虚血後の局所脳水分含量および脳血流量(LCBF)へ及ぼすONO-1016の影響について検討した. 27-28週齢雄性SHR-SPおよび同週齢Wistar Kyoto Rat(WKY)を用いた. 動物を非虚血...
Gespeichert in:
Hauptverfasser: | , , , , |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 脳浮腫治療薬の多くは利尿作用を有し, しばしば治療中に循環動態や水・電解質バランスの異常を来すことがある. 新しく開発されたONO-1016は, 利尿作用がなく, 細胞膜のCl^- /HCO_3 ^- イオン透過性を選択的に抑制し, 二次的にNa, 水の細胞内への移行を抑制する作用を持ち, 脳浮腫治療薬として期待される. 本研究は, 脳卒中易発症高血圧ラット(SHR-SP)を用い, 一過性脳虚血後の局所脳水分含量および脳血流量(LCBF)へ及ぼすONO-1016の影響について検討した. 27-28週齢雄性SHR-SPおよび同週齢Wistar Kyoto Rat(WKY)を用いた. 動物を非虚血群(対照群;WKY), 非治療群(生理食塩水)および治療群(虚血前30分前よりONO-1016 100μg/kg/min, iv)に分け, halothane(1.3%)麻酔/人工呼吸下に両側頸動脈をクリップで1時間閉塞し, その後解除し再潅流させ, 2時間後に脳水分含量(乾燥重量法)あるいはLCBF(^^14 C-iodoantipyrine autoradiography)を測定した. 虚血後再潅流時, 脳水分含量は非治療群では対照群に比べ中隔(SE)および扁桃体(AM)で有意に高値を示し, ほかの部位(視床下部(HT)および小脳(CR)を除き)でも高値をとる傾向がみられた. 治療群でも対照群に比べSEとAMで高値であったが, 非治療群に比べ, SE, 線条体(ST)および中脳(MB)で水分含量増加は軽減された. LCBFは, 非治療群では対照群に比べ大脳皮質(CT), SE, ST, 海馬(HP), AMおよびCRで50-80%と有意に低値となった. 治療群ではCT, SE, ST, AMおよびCRで60-80%と有意に低値であったが, 非治療群に比べSTおよびHCで血流低下は軽減された. 以上より, ONO-1016はSHR-SPにおける一過性脳虚血後の脳浮腫を改善し, 脳低潅流を軽減することが明らかとなった. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |