重症患者の短期予後因子としての甲状腺ホルモン

重症患者においてはLow T3 syndromeとなることはよく知られている. 今回われわれは当科多臓器障害(MOF)診断基準によりMOFと診断した重症患者34例について各種甲状腺ホルモン血中濃度を測定し, 測定から2週間による生死で短期予後との関係を多変量解析の1つである重判別分析を行ったので報告する. 1次性脳内病変および既往歴に甲状腺疾患を認めない33歳~76歳の多臓器不全患者34例(敗血症25例, 間質性肺炎5例, その他4例) T3, free T3, T4, free T4, reverse T3(r-T3), TSH, TGBおよびTRHテスト ICU入室時および状態の変化に応じ...

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Hauptverfasser: 住田臣造, 氏家良人, 木村弘通, 塚本勝, 金子正光, 渡辺広昭, 並木昭義
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:重症患者においてはLow T3 syndromeとなることはよく知られている. 今回われわれは当科多臓器障害(MOF)診断基準によりMOFと診断した重症患者34例について各種甲状腺ホルモン血中濃度を測定し, 測定から2週間による生死で短期予後との関係を多変量解析の1つである重判別分析を行ったので報告する. 1次性脳内病変および既往歴に甲状腺疾患を認めない33歳~76歳の多臓器不全患者34例(敗血症25例, 間質性肺炎5例, その他4例) T3, free T3, T4, free T4, reverse T3(r-T3), TSH, TGBおよびTRHテスト ICU入室時および状態の変化に応じて随時行い, 計46回測定した. 測定時点より2週間以上生存した群を生存測定群(A群 n=26), 2週間以内に死亡した群を死亡測定群(D群 n=20)として統計処理を行った. 1. ホルモン血中濃度:A群D群間に有意差を認めたのはr-T3(D群>A群)とTSH(A群>D群)であった. 2. TRHテスト:TSH最高値の比較ではA群がD群より有意に高かった. 3. 重判別分析:予後に大きく影響を与える因子の順番としてはr-T3, f-T3, TSH, T3の順であった. 重症患者においては甲状腺ホルモン系のフィードバック機構が障害されている可能性が示唆された. また, 重判別分析の結果より予後推定上r-T3がもっとも影響を与える因子であった.
ISSN:0288-4348