5年間のDOA症例431例の解析

昭和58年から昭和62年までの5年間に当センターへ搬送されたDOA症例431例を非蘇生群と蘇生群とに分けて, 発見からのCPR開始時間, 搬送時刻, 発生時状況, DOAの原因疾患について解析し, さらに, 蘇生群の予後について調べた. 発見からCPR開始までの時間の平均は蘇生群で20.8分と非蘇生群より短く, とくに予後のよい回復症例においては11.4分とさらに短かった. DOA搬送時刻による蘇生率の差をみると, 0時から8時の深夜帯で蘇生率は14.1%と他の時間帯の半分と低かった. 原因疾患によって蘇生率やその予後は異なり, 中毒, 外傷, 心疾患が原因と推察されたDOA症例の蘇生率は低い...

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Hauptverfasser: 滝健治, 簡慶輝, 遠藤厚重, 松岡哲也
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:昭和58年から昭和62年までの5年間に当センターへ搬送されたDOA症例431例を非蘇生群と蘇生群とに分けて, 発見からのCPR開始時間, 搬送時刻, 発生時状況, DOAの原因疾患について解析し, さらに, 蘇生群の予後について調べた. 発見からCPR開始までの時間の平均は蘇生群で20.8分と非蘇生群より短く, とくに予後のよい回復症例においては11.4分とさらに短かった. DOA搬送時刻による蘇生率の差をみると, 0時から8時の深夜帯で蘇生率は14.1%と他の時間帯の半分と低かった. 原因疾患によって蘇生率やその予後は異なり, 中毒, 外傷, 心疾患が原因と推察されたDOA症例の蘇生率は低いのに対して, 脳疾患や呼吸器疾患が原因と推察されたDOA症例の蘇生率は比較的高かった. その予後は, 脳疾患例で全例死亡するという悪い結果であったが, 心疾患例には数ヵ月後に自力で帰宅する症例もあった. 胸腹部動脈瘤破裂によるDOA症例では一時心拍再開がみられたが, その維持は手術的処置が必要であり, 緊急手術を受けられた症例の予後は良好であった. DOA発生状況によっても蘇生率は異なり, 交通事故によるDOAや人目につきにくい入浴中に発生したDOAの蘇生率はもっとも悪く, 飲食中や労作中に発生したDOA症例は心拍停止前に搬送されることが多く, その蘇生率は比較的良好であった. そのよい例として, 数回のDOA経験を有する症例では, 体調異常の早期発見と迅速な搬送により後遺症なく回復した. 以上の分析から, 今後のDOA蘇生率とその予後の改善には, 人目につきにくい所で発生したDOAの早期発見のための対策戸, 発見からCPR開始までの時間短縮に一般市民のCPR教育, および今まで以上に積極的な外科的処置の工夫が望まれる.
ISSN:0288-4348