最近経験したDOA症例の検討

金沢医科大学病院救急医療センターでは, 時間外診療として1次から3次までのすべての患者を受け入れている. 今回われわれは, 当センターにおけるDOA症例の実態を把握し, 救命率の向上につき考察を試みた. 昭和60年4月1日から昭和63年3月31日までの当センター受診者総数は23899例で, その内3次と考えられるのは499例(2.1%)で, この内DOA症例は53例(10.6%)であった. DOA症例53例中, 外因死が25例で, 内訳は交通事故死が16例, 次に溺死が3例, 自殺2例, 窒息死2例, そして転落死, 刺創死がおのおの1例であった. 一方28例が内因死であったが, 死因として心...

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Hauptverfasser: 林廣之, 安達昌宏, 浦田哲郎, 宮本史生, 多田研三, 向坂雅登, 馬部樹也, 加藤裕明, 熊谷公利, 竹越嚢
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:金沢医科大学病院救急医療センターでは, 時間外診療として1次から3次までのすべての患者を受け入れている. 今回われわれは, 当センターにおけるDOA症例の実態を把握し, 救命率の向上につき考察を試みた. 昭和60年4月1日から昭和63年3月31日までの当センター受診者総数は23899例で, その内3次と考えられるのは499例(2.1%)で, この内DOA症例は53例(10.6%)であった. DOA症例53例中, 外因死が25例で, 内訳は交通事故死が16例, 次に溺死が3例, 自殺2例, 窒息死2例, そして転落死, 刺創死がおのおの1例であった. 一方28例が内因死であったが, 死因として心血管系と診断あるいは推定された症例は11例, 次に消化器系が4例, 脳血管系が3例, 婦人科系が1例で, その他不明が9例であった. 不明が多かったのは, 既往症が少ない上に剖検が施行されなかったことや, 安易に死亡診断書(死体検案書)に急性心不全と記載された症例も含めたためである. 今回のDOA症例53例中, 剖検が行われたのは10例で, 剖検により診断が確定しえたのは2例のみであった. 内因死全体でみると男性が22例で, 女性の6例と比べて多かった. DOA症例53例の内, CPRで1例だけ救命しえた. この症例は58歳の男性の交通外傷で, 約21ヵ月生存したが植物状態であり結局死亡した. 当センターにおける救命率の低さは, 発症現場からの搬送時間が遅延傾向であったということと, 一般住民および救助隊員の初期治療に対する認識不足も加わっていると考えられる. また, 死因を解明するための剖検率の向上や, 地域住民に積極的にCPRの教育を推し進め, 地域住民から救急センターまで一体となった医療活動を行うことが, 結果としてDOAの救命率を高めることとなると考えられる.
ISSN:0288-4348