ドブタミンが肝・腎表面酸素分圧に及ぼす影響

われわれはドブタミンが, 肝と腎の臓器血流と酸素化に, どのような影響を与えるか, 犬を用いた脱血実験モデルで検討した. 平均体重13.7kgの雑種成犬10頭を, ペントバルビタール25mg/kg麻酔下に気管内挿管しパンクロニウム投与下に純酸素でnormocapniaとなるように調節呼吸とした. ドブタミン投与用に前肢に静脈を確保し, 大腿動静脈より動脈カニューレ, Swan-Ganzカテーテルを挿入した. 開腹したのち肝表面と腎被膜下に, クラーク型ポーラログラフィ酸素電極を装着して, 臓器表面酸素分圧(それぞれ肝Pso_2 , 腎Pso_2 )を連続測定した. さらに肝動脈, 門脈, 腎動...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:蘇生 1989, Vol.7, p.111-112
Hauptverfasser: 三浦正志, 西浜雅充, 岡崎薫, 奥津芳人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:われわれはドブタミンが, 肝と腎の臓器血流と酸素化に, どのような影響を与えるか, 犬を用いた脱血実験モデルで検討した. 平均体重13.7kgの雑種成犬10頭を, ペントバルビタール25mg/kg麻酔下に気管内挿管しパンクロニウム投与下に純酸素でnormocapniaとなるように調節呼吸とした. ドブタミン投与用に前肢に静脈を確保し, 大腿動静脈より動脈カニューレ, Swan-Ganzカテーテルを挿入した. 開腹したのち肝表面と腎被膜下に, クラーク型ポーラログラフィ酸素電極を装着して, 臓器表面酸素分圧(それぞれ肝Pso_2 , 腎Pso_2 )を連続測定した. さらに肝動脈, 門脈, 腎動脈に電磁流量計を装着した. 脱血前(対照群)と平均動脈圧50mmHgとなるように脱血した(脱血群)にドブタミン3, 5, 10, 30μg/kg/min(以後γ)投与時の肝・腎Pso_2 , 平均動脈圧, 心拍出量, 動脈血液ガス分析, 肝動脈, 門脈, 腎動脈血流量を測定した. 対照群では, ドブタミンの投与量の増加に従って心拍出量の増加がみられ, 肝動脈, 門脈血流ともにドブタミン5, 10, 30γ投与により有意の上昇を示した. この時肝Pso_2 は, 5γ投与以後投与量の増加に従って, コントロール値と有意差はなかったが上昇傾向がみられた. 一方, 腎動脈血流量と腎Pso_2 は変化がみられなかった. 脱血群では, ドブタミンの投与量の増加に従って心拍出量の増加がみられ, 肝動脈, 門脈血流ともに3, 5, 10, 30γ投与により有意の上昇を示した. この時肝Pso_2 も同様に有意に上昇した. しかし腎動脈血流量と腎Pso_2 はドブタミンを投与してもほとんど変化がみられなかった. Pao_2 は脱血前後で不変であったが, 脱血により肝PSo_2 ・腎PSo_2 が有意に低下した. これは心拍出量・肝動脈, 門脈, 腎動脈血流量の低下とよく相関していた. 肝Pso_2 はドブタミン投与量の増加に従って, 対照群では上昇傾向, 脱血群では有意に上昇した. これは肝動脈血流量の上昇によると思われた. 一方, 腎Pso_2 と腎動脈血流量はドブタミンを投与しても不変だった.
ISSN:0288-4348