心肺蘇生後のBarbiturate大量療法の検討

心肺蘇生後のBarbiturate持続投与療法16例を対象として, 蘇生手技, 合併症, 神経学的転帰を中心に検討を加えた. 対象となった16例は, 心肺蘇生に成功した症例で, 1日以上ICUで全身管理が続けられたものである. 16例中9例は循環不全や急性腎不全, コントロール不能の脳圧亢進など重篤な合併症により, 1例を除き5日以内に死亡している. この1例は脳死状態となり, 13日目に治療自体を打ち切った. 残り7例についても4例は植物状態となり, 社会復帰は3例のみであった. 神経学的後遺症を残さなかった3例について検討すると, 術中の心停止, 救急車で搬送中の心肺停止, 病棟での心停止...

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Hauptverfasser: 鍛冶有登, 進藤光郎, 西信一, 藤森貢
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:心肺蘇生後のBarbiturate持続投与療法16例を対象として, 蘇生手技, 合併症, 神経学的転帰を中心に検討を加えた. 対象となった16例は, 心肺蘇生に成功した症例で, 1日以上ICUで全身管理が続けられたものである. 16例中9例は循環不全や急性腎不全, コントロール不能の脳圧亢進など重篤な合併症により, 1例を除き5日以内に死亡している. この1例は脳死状態となり, 13日目に治療自体を打ち切った. 残り7例についても4例は植物状態となり, 社会復帰は3例のみであった. 神経学的後遺症を残さなかった3例について検討すると, 術中の心停止, 救急車で搬送中の心肺停止, 病棟での心停止など, いずれも心停止の時間が非常に短く, すみやかな心肺蘇生が実行されたものばかりであった. また, 心停止の第一発見者が, 麻酔科医師, 看護婦, 救急隊員など, 基本的心肺蘇生法に習熟していると思われる者であり, 脳蘇生に関してはBarbiturate療法そのものよりは, 第1次的救命処置の重要性を示していると言えよう. 植物状態となった4例は, Barbiturateの投与開始が遅れ, 最短の症例でも5時間経過している. 蘇生後早期, あるいは蘇生中からBarbiturateを投与していれば, 神経学的予後に関してもっと良好な結果が得られた可能性もある. 16例の合併症では, 死亡した9例は全例カテコラミンの持続投与が必要で, また, 脳圧亢進状態では管理の難しい腎不全の合併も高率であった. このように, 全身管理の煩雑さとはうらはらにCPR後のBarbiturate療法は有効度が低いと思えるが, さらに症例数を重ね, 投与の時期や投与量の問題, 併用する治療法について検討していきたいと考えている.
ISSN:0288-4348