市民に対する心肺蘇生法指導についての1考察

昭和61年の本院の統計では, 救急センター受診者総数35,624人で, DOAは109人であった. そのうち救急隊員を含めて心肺停止直後より蘇生を開始されたものは8例にすぎない. いわゆるbystanderによる心肺蘇生の重要性をことさら感じる. これらDOA患者の既往歴を調べてみると, 心疾患, 呼吸器疾患, その他の疾病で, 入院, または外来に通院している者が30名になっていた. これらの患者に心肺蘇生が家族によってなされていたのは1例だけとなっていた. もっとも必要と考えられる対象が身近にあるとの反省に立ち, 家族に対する心肺蘇生法の指導に着手したいと考えている. 従来の指導法は大勢の...

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Hauptverfasser: 宮城良充, 仲本昌一, 知念清, 国吉茂
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:昭和61年の本院の統計では, 救急センター受診者総数35,624人で, DOAは109人であった. そのうち救急隊員を含めて心肺停止直後より蘇生を開始されたものは8例にすぎない. いわゆるbystanderによる心肺蘇生の重要性をことさら感じる. これらDOA患者の既往歴を調べてみると, 心疾患, 呼吸器疾患, その他の疾病で, 入院, または外来に通院している者が30名になっていた. これらの患者に心肺蘇生が家族によってなされていたのは1例だけとなっていた. もっとも必要と考えられる対象が身近にあるとの反省に立ち, 家族に対する心肺蘇生法の指導に着手したいと考えている. 従来の指導法は大勢の市民の前で講師一人のパターンではなかったかと思う. 心肺蘇生の指導では受講者全員が人形に実際触れる体験をしないことには効果がない. 集団が大きいと, 尻ごみして人形に触れない人でも, 小さな集団では全員が触れざるを得ない状況となり, 恥ずかしいという気持も少なくなるということから, われわれはsmall groupによる講習会がもっともよい方法と考える. 広く普及するには市中病院の医師が機会があるごとに地域に出て指導する必要があると考える. 従来の指導法は昭和58年9月に発行された日本医師会の指針に基づいて行っていた. 今回は昭和61年6月にJAMAに発表された指針を取り入れ, これまでの方法と比較検討してみたい. われわれは, さらに考えを進め, 救助者が複数の時でも一人で行う蘇生法をそれぞれ分担して行うとしたらどうであろうかと検討してみた. また呼気吹き込み方法でもJAMAの方法が, 受講者の間でも, 回数は初回, つづくマッサージ間の回数も2と覚えやすいし, ゆっくり吹き込んでよいので気分的に余裕が出てくるとの評価であった. このように簡便で行いやすいという点は普及に重要なことであり, 指針の改定にあたっては考慮いただきたいものである.
ISSN:0288-4348