急性肝不全時の肝内クレアチン代謝の変動

脳虚血後のクレアチン(CR)およびCR代謝の関連物質の変動から, 脳内エネルギーに関わるCR代謝の重要性について, 第4回の本学会で発表した. 今回は, 肝不全時におけるCR代謝についてしらべ, 脳虚血の場合と同様, 臓器障害におけるCR代謝の意義について考察した. 方法は, 雄性ウィスター系ラットにD-ガラクトサミン1g/kgを腹腔内投与して, 急性肝不全(AHF)モデルを作成した. 非投与群を対照(G-O)群とし, 投与後24時間(G-24)後と40時間(G-40)後に血清および肝を採取して, 高速液クロ法により, CR, アルギニン(ARG), グアニジノ酪酸(GBA)などを測定した....

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 落合陽治, 西谷恭子, 株丹浩二, 小坂二度見
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:脳虚血後のクレアチン(CR)およびCR代謝の関連物質の変動から, 脳内エネルギーに関わるCR代謝の重要性について, 第4回の本学会で発表した. 今回は, 肝不全時におけるCR代謝についてしらべ, 脳虚血の場合と同様, 臓器障害におけるCR代謝の意義について考察した. 方法は, 雄性ウィスター系ラットにD-ガラクトサミン1g/kgを腹腔内投与して, 急性肝不全(AHF)モデルを作成した. 非投与群を対照(G-O)群とし, 投与後24時間(G-24)後と40時間(G-40)後に血清および肝を採取して, 高速液クロ法により, CR, アルギニン(ARG), グアニジノ酪酸(GBA)などを測定した. また, 血清CRTN, オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OCT)を測定した. 結果として, 血清OCTはAHF群で有意に増加したが, 血清CRTNは不変であった. G-O群に比べG-24群で, 肝のCR, GBA, ARGは有意の変化を示さず, G-40群で肝のCR, ARGの有意の増加がみられた. 血清では, GBAがAHFの両群で有意に増加し, ARGが有意に減少した. 血清CRはG-24群, G-40群でほぼ不変だった. グアニジノ酢酸(GAA)は, G-24群では肝, 血清とも減少し, G-40群では肝でもとのレベルに回復し, 血清で著増した. AHF時には肝アルギナーゼの活性低下により, 肝内ARGが増加し, 肝CRの増加を伴っている. 血清では, GBAとGAAの著増, ARGの著減がみられ, 肝ARGの増加と関係していると考えられる. 以上より, AHFでは肝CR代謝が影響されるが, 肝障害の程度を反映するものとして, 血清OCT, GBA, GAAがあげられる. 肝のCRとARGの増加, 血清GBAの増加は肝性脳症発現に関与すると推測される.
ISSN:0288-4348