リドカインによる局所麻酔薬中毒に対する薬物動態解析
硬膜外麻酔の合併症として, 局所麻酔薬中毒および局所麻酔薬のクモ膜下注入などがある. 今回, 局所麻酔薬中毒を疑わせる2症例を経験した. これらに対して血中薬物濃度モニタリングと薬物動態解析を行った. その結果, ほぼ全量のリドカインが血管内に注入されたと判明した. さらに, 治療の目的で行われた全脊麻症例に対して同様のことを行った. 合併症の確定診断に血中薬濃度モニタリングと薬物動態解析が有用と思われた. 仙骨硬膜外麻酔の際に, 痙攣・意識消失が生じた. 6回にわたる採血により, モーメント解析およびコンパートメント解析から400mg中305mgのリドカインが血管内に注入されたと考えられた....
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Zusammenfassung: | 硬膜外麻酔の合併症として, 局所麻酔薬中毒および局所麻酔薬のクモ膜下注入などがある. 今回, 局所麻酔薬中毒を疑わせる2症例を経験した. これらに対して血中薬物濃度モニタリングと薬物動態解析を行った. その結果, ほぼ全量のリドカインが血管内に注入されたと判明した. さらに, 治療の目的で行われた全脊麻症例に対して同様のことを行った. 合併症の確定診断に血中薬濃度モニタリングと薬物動態解析が有用と思われた. 仙骨硬膜外麻酔の際に, 痙攣・意識消失が生じた. 6回にわたる採血により, モーメント解析およびコンパートメント解析から400mg中305mgのリドカインが血管内に注入されたと考えられた. 腰部硬膜外麻酔の際に, 手脂振戦・痙攣が生じた. 1回の採血により, 血中薬物濃度シミュレーションから300mg中ほぼ全量のリドカインが血管内に注入されたと考えられた. 外傷性頸部症候群の治療として全脊麻を行った. 5回にわたる採血により, モーメント解析から300mg中66%が血中に移行したと考えられた. 硬膜外麻酔の合併症である局所麻酔薬中毒と局所麻酔薬のクモ膜下注入の鑑別は, 注意深い観察により容易と思われる. しかし客観的な確定診断のためには血中薬物濃度モニタリングと薬物動態解析が必要である. 近年, 薬物濃度が瞬時に, かつ正確に測定できるようになった. また, コンピュータの発達により薬物動態解析も即座にできるようになり, 診断および蘇生を進める上で, このような方法は非常に有用であると考える. |
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ISSN: | 0288-4348 |