電撃症による心停止に対し1時間半にわたるCPCRにより蘇生に成功した1例
電撃による心停止に対し1時間半に及ぶCPCRを行い蘇生に成功した1例について報告する. 42歳, ♂, 6,600Vの変圧器修理中に感電. 意識消失, 脈拍不触, 呼吸微弱となった. 受傷後約2~3分で医師によるCPCRすなわち心マッサージ, 挿管による人工呼吸などを開始, 受傷後約10分で病棟に移し, 心電図モニター装着, 種々の心肺蘇生薬の投与, counter shookなどを行った結果, CPCR開始後約1時間半で心律動が回復し, ICUに移室. ICU入室時, 意識は3-3-9度方式で300, 対光反射(+), 心電図にはwide QRSを示すもほぼ規則調律で, 受傷後約3時間で心拍...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 電撃による心停止に対し1時間半に及ぶCPCRを行い蘇生に成功した1例について報告する. 42歳, ♂, 6,600Vの変圧器修理中に感電. 意識消失, 脈拍不触, 呼吸微弱となった. 受傷後約2~3分で医師によるCPCRすなわち心マッサージ, 挿管による人工呼吸などを開始, 受傷後約10分で病棟に移し, 心電図モニター装着, 種々の心肺蘇生薬の投与, counter shookなどを行った結果, CPCR開始後約1時間半で心律動が回復し, ICUに移室. ICU入室時, 意識は3-3-9度方式で300, 対光反射(+), 心電図にはwide QRSを示すもほぼ規則調律で, 受傷後約3時間で心拍数112/分, 血圧91/52, 心拍出量4.61リットル/分で以後順調に心機能の回復をみたが, 心筋逸脱酵素の安定には約20日を要した. 呼吸器系に関しては, ICU入室時においては肺水腫を認めたが, PEEPを併用したIPPVにより急速な回善がみられ受傷40時間後には抜管可能となった. 意識の推移は, ICU入室時においても300のレベルであったが, 受傷5時間後より体動がみられ, 脳波はこの時点でいまだ平坦に近かったが, 受傷8時間後では回善の所見が認められ, 意識レベルも30に回復した. 受傷8ヵ月後の現在, anoxic encephalopathyとして軽度の痴呆症状が固定的に残っている. 蘇生経過をふり返り若干の問題点を提起する. まず, 閉胸式心マッサージを長期続け, それによってもまず満足すべき結果を得たこと, 心肺脳蘇生薬としてインスリンを用いたこと. これにより細胞内K低下を防ぎ細胞内Ca流入防止の一助をなした可能性のあること. 電撃症による心停止は不幸な結末をとることが多いが, もし早期から心肺脳蘇生を開始すればその完全な蘇生に成功する可能性もありえる. |
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ISSN: | 0288-4348 |