Eバルブ(R)付きアンブ蘇生器使用により, 広範囲に皮下気腫を生じた1症例

アンブ蘇生器使用による合併症の報告は, ほとんどない. 今日, われわれはアンブ蘇生器使用により, 広範囲に皮下気腫を生じた症例を経験したので報告する. 症例は, 昭和60年1月10日, 心不全(NYHA III°)にて循環器内科に入院, このときに下腹部に腫瘤を触知し, 精査にて卵巣腫瘍と診断され, 同年2月12日, 婦人科転科, 2月18日, 卵巣腫瘍摘出術を受けた62歳女性である. ICUへ移送するため人工呼吸をする目的で, Eバルブ(R)付きアンブ蘇生器を気管内チューブに直結し, 用手換気を開始したところ, 徐々にバックの固さが増強し, 胸郭の動きが悪くなり, 換気は不可能となってチア...

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Hauptverfasser: 雄山瑞巌, 荻原正洋, 藤森茂, 榊原洋子, 宮沢美智彦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アンブ蘇生器使用による合併症の報告は, ほとんどない. 今日, われわれはアンブ蘇生器使用により, 広範囲に皮下気腫を生じた症例を経験したので報告する. 症例は, 昭和60年1月10日, 心不全(NYHA III°)にて循環器内科に入院, このときに下腹部に腫瘤を触知し, 精査にて卵巣腫瘍と診断され, 同年2月12日, 婦人科転科, 2月18日, 卵巣腫瘍摘出術を受けた62歳女性である. ICUへ移送するため人工呼吸をする目的で, Eバルブ(R)付きアンブ蘇生器を気管内チューブに直結し, 用手換気を開始したところ, 徐々にバックの固さが増強し, 胸郭の動きが悪くなり, 換気は不可能となってチアノーゼ, 徐脈が出現した. ただちにアンブ蘇生器をはずすと, 気管内チューブより大量の呼気噴出があった. 胸部X線にて左肺緊張性気胸が確認され, また広範囲に皮下気腫の増強が見られたため, 胸腔内ドレーンを挿入し, 人工呼吸器にて呼吸管理をし, 約2週間後無事退院した. われわれが今回使用したのは2弁を有するEバルブ(R)であったが, バルブの排気キャップに付いているセンターポールが呼気弁を押さえつけていたために, 呼気弁が作動しなかったため緊張性気胸を起こし, さらに広範囲の皮下気腫を生じたものと思われる. 2弁バルブは, (1)バルブの部品の互換性が可能なため, 購入時あるいは洗浄時において, 組み立て違いや別のバルブとの部品の取り違えにより, バルブの正常の機能を保てなくなる, (2)弁の機能不全や操作の未熟により, 吸気が必要以上に送り込まれて, 過換気さらには過加圧となり, 肺損傷を引き起こす, などの危険性が高いように思われる. 蘇生器の点検は定期的に行い, 使用前には必ずテストラングを使用する. また, 蘇生用のバルブは, 安全性の面からも1弁バルブを使用したほうが良いと考える.
ISSN:0288-4348