蘇生法に対する高圧酸素療法

脳組織は他の組織に比し低酸素状態に対する耐性がきわめて脆弱で, これが脳浮腫の発生を助長する一つの因子であることはよく知られており, 心肺蘇生後の低酸素症に陥った脳に十分酸素を供給することが重要視されている. しかし, 最近また見なおされつつある高圧酸素療法が, これら脳機能低下患者の治療方法として, どのような意義を持つかはまだ明らかではない. 確かに, 高圧酸素下では図1のように, Henryの法則により血中酸素分圧が著しく上昇するのは当然でありますが, 脳血流量はかなり低下するという報告も多く見られ1)2), また, 酸素自体その張力がある程度以上になると毒性をもち, Paul Bert...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:蘇生 1983/05/10, Vol.1, pp.28-37
1. Verfasser: 木谷, 泰治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳組織は他の組織に比し低酸素状態に対する耐性がきわめて脆弱で, これが脳浮腫の発生を助長する一つの因子であることはよく知られており, 心肺蘇生後の低酸素症に陥った脳に十分酸素を供給することが重要視されている. しかし, 最近また見なおされつつある高圧酸素療法が, これら脳機能低下患者の治療方法として, どのような意義を持つかはまだ明らかではない. 確かに, 高圧酸素下では図1のように, Henryの法則により血中酸素分圧が著しく上昇するのは当然でありますが, 脳血流量はかなり低下するという報告も多く見られ1)2), また, 酸素自体その張力がある程度以上になると毒性をもち, Paul Bert効果として知られる中枢神経系の障害があるほか, 問題点は多い. しかし意識障害患者に対する, 意識状態改善の方法として, この療法が成立するか否かを知るには, 意識保持の機構についての生物学的な解明がきわめて不十分な現段階においては, やはり個々の患者について十分な注意の下に, 実際にこの療法を行ってみることが必要と思われる.
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.1.28