3. 嚥下障害患者に対する食品の考察

【目的】我々の施設では, 摂食時の姿勢や食品の性状の調節により誤嚥を防止する代償法の適応を探る目的を重視し, 個々の患者の日常的な摂食状況を再現しつつ検査を進めるテーラーメイドのビデオ嚥下造影(VF)検査を施行している. 検査時には, 患者が日常食べている飲食物を持参してもらい, 造影剤加して検査食として用いる. また, 持参した食品のテクスチャ特性(硬さ, 付着性, 凝集性)を評価して, VF所見と併せて摂食嚥下指導に活用する事を試みている. 嚥下障害患者に主食の米飯を食べさせたいと希望する介護者では, 検査食として粥を持参する場合が多い. そこで, 粥を検査食としたVF所見, および粥のテ...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 2007, Vol.47 (1/4), p.116-117
Hauptverfasser: 勝又明敏, 飯田幸弘, 吉田洋康, 藤下昌己
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】我々の施設では, 摂食時の姿勢や食品の性状の調節により誤嚥を防止する代償法の適応を探る目的を重視し, 個々の患者の日常的な摂食状況を再現しつつ検査を進めるテーラーメイドのビデオ嚥下造影(VF)検査を施行している. 検査時には, 患者が日常食べている飲食物を持参してもらい, 造影剤加して検査食として用いる. また, 持参した食品のテクスチャ特性(硬さ, 付着性, 凝集性)を評価して, VF所見と併せて摂食嚥下指導に活用する事を試みている. 嚥下障害患者に主食の米飯を食べさせたいと希望する介護者では, 検査食として粥を持参する場合が多い. そこで, 粥を検査食としたVF所見, および粥のテクスチャ特性に影響する調理上の要因について検討した. 【方法】粥を検査食とした14症例のVF画像で, 口腔咽頭への付着残留および誤嚥の有無を検討した. 調理時に米に加える水の量, 用いた調理器具, 調理してからの時間の異なる粥のテクスチャを, クリープメータ物性試験システム(RE-3305S, 山電)を用いて計測した. 【結果】VF所見では, 11/14例に口腔咽頭への粥の付着残留を, 1例で軽度の誤嚥を認めた. 粥の物性は, 水の量が多いほど, 柔らかく, 付着性が小さくなっていた. 同じ水の量で調理した場合, 鍋で調理したものが, 電気釜にて調理したものに比べて硬く, 付着性が大きくなっていた. 凝集性に関しては, 調理方法よる差異はなく, 約0.6から0.8の範囲であった. 標準的な粥では, 調理後の時間経過により, 硬く, 付着性が大きくなる傾向が認められた. また, 米飯に湯を加えてミキサーで加工した粥では, 付着性が非常に大きくなっていた. 【考察および結論】付着性の大きな粥は, 重度の嚥下障害者にとり摂取の難度が高い食品と思われる. 嚥下障害患者に与える粥は, 咽頭への残留を減らすために, 付着性が大きくなり過ぎない様に調理すべきである. また, 調理方法によりテクスチャが大きく変化する事にも注意が必要である.
ISSN:0389-9705