P-17. 悪性腫瘍細胞におけるテロメラーゼ発現と放射線の影響
【目的】テロメラーゼは細胞の無限増殖に関与すると考えられている酵素で, 多くの癌細胞でテロメラーゼ活性が検出されている. テロメラーゼ活性はその構成要素である逆転写酵素(hTERT)の発現と関連しており, hTERTの選択的スプライシングによっても調節されていることが報告されている. 本研究では, 悪性腫瘍細胞におけるテロメラーゼの発現と放射線の影響を検討した. 【方法】細胞はヒト舌扁平上皮癌細胞(SCC-9, SCC-25), ヒト咽頭扁平上皮癌細胞(FaDu), ヒト顎下腺類表皮癌細胞(A-253), ヒト悪性黒色腫細胞(G-361), ヒト表皮角化細胞(NHEK(F))を使用した. テロ...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 2007, Vol.47 (1/4), p.108-108 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】テロメラーゼは細胞の無限増殖に関与すると考えられている酵素で, 多くの癌細胞でテロメラーゼ活性が検出されている. テロメラーゼ活性はその構成要素である逆転写酵素(hTERT)の発現と関連しており, hTERTの選択的スプライシングによっても調節されていることが報告されている. 本研究では, 悪性腫瘍細胞におけるテロメラーゼの発現と放射線の影響を検討した. 【方法】細胞はヒト舌扁平上皮癌細胞(SCC-9, SCC-25), ヒト咽頭扁平上皮癌細胞(FaDu), ヒト顎下腺類表皮癌細胞(A-253), ヒト悪性黒色腫細胞(G-361), ヒト表皮角化細胞(NHEK(F))を使用した. テロメラーゼ活性はTelo TAGGG Telomerase PCR ELISA PLUSキット(Roche Diagnostics)にて測定した. RT-PCRによりhTERT mRNAの発現を調べた. 放射線照射にはMitsubishi社製LINAC 2.8MV X線を使用した. 非照射細胞, 10Gy照射細胞の細胞数を算定し, トリパンブルー染色法により細胞生存率を調べた. 【結果】テロメラーゼ活性の測定の結果, NHEK(F)では軽度のテロメラーゼ活性を示したのに対し, いずれの悪性腫瘍細胞においても高いテロメラーゼ活性を認めた. FaDu, A-253, G-361では特に高活性を示した. hTERT mRNAはいずれの悪性腫瘍細胞でも検出され, テロメラーゼ活性の高いFaDu, A-253, G-361で高い発現を認めた. テロメラーゼ活性の高い細胞で活性型のhTERT mRNAの比率が大きかった. 細胞の増殖をみると, 非照射のFaDu, A-253では他の細胞より活発な増殖を示した. 10Gy照射後FaDu, A-253, G-361, NEHK(F)では緩やかな増殖傾向を示した. 細胞生存率の検討では, SCC-9, SCC-25では照射後の時間経過に伴い細胞生存率は減少し, 特にSCC-25における生存率の減少がみられた. しかし, FaDu, A-253, G-361, NEHK(F)では照射後も高い生存率を示した. 照射後のテロメラーゼ活性の変化をみると, 生存率の高い細胞では照射後テロメラーゼ活性の上昇がみられた. 生存率の低かったSCC-25ではテロメラーゼ活性に大きな変化はみられなかった. 【まとめ】今回の検討の結果, 悪性腫瘍細胞におけるテロメラーゼ発現は細胞の増殖や生存率に関与していることが示唆された. しかし照射後の細胞におけるテロメラーゼの役割については明らかではなく, 今後の検討課題と考える. |
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ISSN: | 0389-9705 |