P-13. Diffusion Tensor Tractographyによる下歯槽神経(V3)描出の試み

【目的】近年, MRI撮像技術の発展に伴い, 新しい技術を利用した拡散強調画像などが臨床応用されるようになってきた. そのうち拡散テンソル画像は生体内水分子の拡散の異方性を表現したもので, Tractographyはこの拡散の異方性を追跡し, 神経線維を描出する事が可能である. TractographyによるFiber Tracking法は, 主に脳腫瘍の術前検査などで有用性が報告されているが, 顎顔面領域への応用は未だみられない. 今回我々は, Diffusion Tensor Tractography(DTT)を顎骨へ応用し, 下歯槽神経の描出を試みたので報告する. 【方法】対象は健常ボラ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:歯科放射線 2007, Vol.47 (1/4), p.107-107
Hauptverfasser: 森進太郎, 藤田雄三, 加藤正隆, 阪柳雅志, 山下芳枝, 加藤美弥, 関谷恵子, 金田隆
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】近年, MRI撮像技術の発展に伴い, 新しい技術を利用した拡散強調画像などが臨床応用されるようになってきた. そのうち拡散テンソル画像は生体内水分子の拡散の異方性を表現したもので, Tractographyはこの拡散の異方性を追跡し, 神経線維を描出する事が可能である. TractographyによるFiber Tracking法は, 主に脳腫瘍の術前検査などで有用性が報告されているが, 顎顔面領域への応用は未だみられない. 今回我々は, Diffusion Tensor Tractography(DTT)を顎骨へ応用し, 下歯槽神経の描出を試みたので報告する. 【方法】対象は健常ボランティア5名(男性4名, 女性1名)とした. MR装置はPhilips社製のIntera Achiva 1.5Tを用い, RFコイルはシナジーフレックスSコイルを使用した. 撮像パラメータはEPI SE法(TR/TE=4000/74msec)にてFA 90, FOV 180mm, スライス厚/ギャップ3mm/-1mm, 加算回数3回の条件を用いた. 得られた画像はワークステーションへ送信し画像解析を行った. DTTソフトはPhilips社製のPRIDEを使用した. 【結果】DTTにより5名全ての下歯槽神経の描出が可能であった. 描出された下歯槽神経はエックス線所見で示される下顎管の走行と一致していた. 顎顔面領域の拡散テンソル画像はS/Nが低いため, 下歯槽神経にROIを設定するのに苦慮したが, T1強調像を重ね合わせることで操作が容易となった. 【考察】神経線維を連続した3次元画像として描出することができるDTTの手法は, 拡散テンソルの技術を用いた新しいMR画像解析法であり, 主に脳外科領域で検討され有用性が報告されている. 顎顔面領域は拡散強調画像を用いるにはアーチファクトの発生しやすい領域であるが, 表面コイルを用いてS/Nと分解能を向上させることで下歯槽神経の描出は可能であると示唆された. DTTによる下歯槽神経の描出は, 顎骨病変による下顎管の圧迫や術後の評価, 悪性腫瘍の神経浸潤, 顎変形症やインプラント治療などへの臨床応用が今後可能であると示唆された. 【結論】今回我々はDiffusion Tensor Tractographyによる下歯槽神経の描出を試みた. Fiber Tracking法により下歯槽神経の自動描出が可能であると示唆された.
ISSN:0389-9705