5.パノラマX線写真による8020運動の検証 II.65歳以上80歳未満の高齢者の検討

【目的】80歳で20本以上の歯を保つことを目標とした8020運動が1989年に始まり, 2000年からは健康日本21の中で2010年には80歳で20本以上もつ人を20%以上にするという具体的な目標値が掲げられた. しかしながら1999年の厚生省歯科疾患実態調査によると, 80歳での1人平均の歯数は8.21本, 20本以上有する者の割合は, 15.25%と推定されている. 今回, パノラマX線撮影を行った65歳以上80歳未満の患者のX線写真から高齢者の残存歯数について検討する. 【対象】2002年9月9日~2004年9月8日(2年)の間に, 本院を受診した患者の中で撮影を行った65歳以上80歳未...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 2006, Vol.46 (2), p.85-85
Hauptverfasser: 細木秀彦, 菅原千恵子, 前田直樹, 岩崎裕一, 誉田栄一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】80歳で20本以上の歯を保つことを目標とした8020運動が1989年に始まり, 2000年からは健康日本21の中で2010年には80歳で20本以上もつ人を20%以上にするという具体的な目標値が掲げられた. しかしながら1999年の厚生省歯科疾患実態調査によると, 80歳での1人平均の歯数は8.21本, 20本以上有する者の割合は, 15.25%と推定されている. 今回, パノラマX線撮影を行った65歳以上80歳未満の患者のX線写真から高齢者の残存歯数について検討する. 【対象】2002年9月9日~2004年9月8日(2年)の間に, 本院を受診した患者の中で撮影を行った65歳以上80歳未満の患者のパノラマX線写真を対象とした. 【方法】第1報(第46回日本歯科放射線学会学術大会, 2005年)と同様, パノラマX線撮影を行った患者の一覧表をRIS(放射線情報システム)から抽出し作成した. その一覧表をもとにX線写真から各歯種の有無を判断し集計した. 尚, 期間内に複数回の撮影が行われていた場合は, 最初に撮影されたX線写真を検討対象とした. 一方, 検討対象の期間よりも前に撮影が行われていた患者については, それらも分析の対象とした. 【結果および考察】2年間にパノラマX線撮影を行った患者は718名であった. そのうち悪性腫瘍の治療に関与して抜歯が行われたりした47名は対象から除外した. したがって検討対象は, 671名(男性270名, 女性401名)であった. 歯数の最高は32本で, 1人平均残存歯数は15.8本であった. 年齢別では65~69歳が249名で18.1本, 70~74歳が266名で16.3本, 75~79歳が156名で11.3本であった. 性別では男性15.9本, 女性15.8本であった. 20本以上を有していたのは, 291名(43.4%)であった. 一方, 無歯顎者は57名(8.5%)であった. 歯種別でもっとも残存率の高かったのは下顎犬歯で77%, 次いで下顎側切歯70%, 下顎中切歯68%の順で, もっとも低かったのは第3大臼歯を除けば下顎第1大臼歯で34%であった. 対象期間より前にもパノラマX線撮影が行われていた患者は192名(28.6%)で, 歯数の経年的変化を確認できたが, それらのうち14名については最初の撮影の時点で無歯顎であった. 今回の検討結果からは, 65~69歳の時点ですでに平均残存歯数は20本以下であった. 【まとめ】今回の検討からも8020の達成には, 更なる時間が必要であることが明らかになった. 今後, 80歳以上の患者を含めた高齢者の残存歯数について年次推移を分析して行きたい.
ISSN:0389-9705