T09. 多発性骨髄腫による全身性アミロイドーシスにより生じた巨舌症の症例
アミロイドーシスは, 線維構造をもつアミロイド蛋白が全身性, あるいは局所性に沈着する疾患で, 諸臓器に沈着し機能障害を引き起こす. 口腔には全身性アミロイドーシスの部分症状として表れることが多く, 歯肉, 頬粘膜, 舌, 唾液腺への沈着が報告されている. 舌に最も多く, 巨舌を呈して摂食, 嚥下, 言語, 呼吸障害などを示す. 通常は腎臓, 心臓, 消化管など機能低下症状からアミロイドーシスが疑われ, 病理診断によってのみ確定される. アミロイドーシスの発現率は, 100万人あたり8人といわれ, このうち巨舌症を主訴に歯科を受診することはまれなケースと考えられる. また, これに対して画像検...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 2005, Vol.45 (4), p.204-204 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | アミロイドーシスは, 線維構造をもつアミロイド蛋白が全身性, あるいは局所性に沈着する疾患で, 諸臓器に沈着し機能障害を引き起こす. 口腔には全身性アミロイドーシスの部分症状として表れることが多く, 歯肉, 頬粘膜, 舌, 唾液腺への沈着が報告されている. 舌に最も多く, 巨舌を呈して摂食, 嚥下, 言語, 呼吸障害などを示す. 通常は腎臓, 心臓, 消化管など機能低下症状からアミロイドーシスが疑われ, 病理診断によってのみ確定される. アミロイドーシスの発現率は, 100万人あたり8人といわれ, このうち巨舌症を主訴に歯科を受診することはまれなケースと考えられる. また, これに対して画像検査がなされることはほとんどない. われわれはアミロイド沈着による巨舌症に対して, 画像検査を実施し, 超音波検査で有用と思われる所見を認めたので供覧した. 症例は初診時82歳の女性で, 舌が急速に大きくなり食事がとれなくなり受診した. 肥大した舌のため口腔閉鎖は不能であったが, 舌表面粘膜には異常はなかった. 画像検査では, CT, MRIでは腫瘤病変は確認されず, 各々の造影検査でも異常所見は観察されなかった. 超音波検査では舌筋と思われる線状の高輝度エコー構造の間に低エコー域が散在して観察された. これらの所見より, 腫瘤形成や血流障害による巨舌ではなく, 舌全体に質的変化が生じる代謝性の変化を考え, アミロイドーシスの可能性を示唆した. 原因疾患の精査の目的で内科に入院し, 血液, 尿, 骨髄穿刺などの検査が施行され, BJPλ型の骨髄腫との診断を得た. 麻痺性イレウスを生じたために大腸内視鏡検査が実施され, 腸管壁のアミロイド沈着も確認された. その後, 鬱血性心不全, 肺水腫を併発し, 初診後2ヵ月で永眠し, 剖検では舌, 心臓, 肺, 食道その他広範囲の臓器へのアミロイド沈着が確認された. 本症例は骨髄腫が原因疾患の続発性アミロイドーシスで, 短期間で舌の肥大化を示した症例であった. 剖検された舌は, 肉眼的には通常サイズの4倍ほどの容積を有し, 矢状断面では全体に白く, 筋組織はその間にわずかに観察される程度であった. 組織検査では, 多量のアミロイド沈着が確認された. 超音波所見における低エコー域の広がりは, これらの無構造なアミロイド沈着を反映していたものと推察する. |
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ISSN: | 0389-9705 |