4. 左側のBuccal Spaceにみられ画像診断が難しかった多形性腺腫の1例

【目的】顎口腔領域の軟組織に発生する病変のうち, 咀嚼筋間隙(Masticator space:MS)の前方に存在する頬部間隙(Buccal space:BS)にみられる腫瘤性の病変は, 時として診断に苦慮することがある. 今回このBS部に発生した多形性腺腫を経験したので報告する. 【症例】患者は36歳の女性で左側頬部の無痛性の腫脹のため某歯科より紹介されて来院した. 現病歴として, 約4, 5年前より左側頬部にしこりを自覚していたが無痛性のためそのまま放置していた. 1年前から腫瘤が次第に増大傾向がみられた. 初診時に左側頬部の腫瘤は20×20mm大のやや弾性硬で表面は口腔内内側に膨隆し疼痛...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:歯科放射線 2005, Vol.45 (4), p.160-161
Hauptverfasser: 荒木正夫, 川嶋祥史, 西村 敏, 橋本光二, 松本光彦, 松本直行, 小宮山一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】顎口腔領域の軟組織に発生する病変のうち, 咀嚼筋間隙(Masticator space:MS)の前方に存在する頬部間隙(Buccal space:BS)にみられる腫瘤性の病変は, 時として診断に苦慮することがある. 今回このBS部に発生した多形性腺腫を経験したので報告する. 【症例】患者は36歳の女性で左側頬部の無痛性の腫脹のため某歯科より紹介されて来院した. 現病歴として, 約4, 5年前より左側頬部にしこりを自覚していたが無痛性のためそのまま放置していた. 1年前から腫瘤が次第に増大傾向がみられた. 初診時に左側頬部の腫瘤は20×20mm大のやや弾性硬で表面は口腔内内側に膨隆し疼痛, 腫脹, 圧痛および排膿は認めなかった. 【画像所見】超音波検査(US)では, 左側の咬筋前方部に皮下3mm部に上部が15×15×30mm大の境界不明瞭な低echo領域とその下方に15×15×20mmの境界明瞭なほぼ均一な内部echoを示す高echo領域を認めた. ドプラー像では周囲および内部の血流信号はみられなかった. MRIでは左側咬筋前方で浅頸筋膜下に境界明瞭で長径32mmの腫瘤がみられ, 腫瘤の上部はT2強調像で中等度, 下部は高信号を示した. 造影では下部主体に高度に造影され, 嚢胞を疑わせる所見はみられなかった. T1強調像では筋肉と等信号を示した. 以上の所見からBSに発生した良性腫瘍や神経原性腫瘍などが考えられたが, 小唾液腺腫瘍や血管腫なども否定はできなかった. 【処置および経過】初診から4ヶ月後に静脈内鎮静下にて左側頬部に切開を入れ腫瘍を鈍的に剥離し摘出手術を行った. 現在経過良好で通院加療中である. 【病理組織学的診断名】Pleomorphic adenoma
ISSN:0389-9705