5.パノラマX線写真にて発見されない上顎前歯部埋伏歯の検討
顎骨歯列の総覧的画像を表わすパノラマX線写真は, 埋伏歯や過剰歯の局在診断に関してレーダーとしての役割りを担っている. しかし, パノラマからはその存在を疑う所見すら得られなかった上顎前歯部埋伏歯が, 口内法X線像またはCT画像で発見される事もまれにある. 演者らは, パノラマにて発見されなかった上顎前歯部埋伏歯の2症例について, パノラマで描出される埋伏歯との比較におけるCT画像解析を試みた. パノラマで発見されなかった埋伏歯の症例1は, 53歳の男性で上顎無歯顎である. 右側臼歯部口蓋側の粘膜に限局性の腫瘤を自覚し, 精査を目的に来院した. パノラマでは腫瘤相当部に特別な異常像を認めなかっ...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 2004, Vol.44 (4), p.289-290 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 顎骨歯列の総覧的画像を表わすパノラマX線写真は, 埋伏歯や過剰歯の局在診断に関してレーダーとしての役割りを担っている. しかし, パノラマからはその存在を疑う所見すら得られなかった上顎前歯部埋伏歯が, 口内法X線像またはCT画像で発見される事もまれにある. 演者らは, パノラマにて発見されなかった上顎前歯部埋伏歯の2症例について, パノラマで描出される埋伏歯との比較におけるCT画像解析を試みた. パノラマで発見されなかった埋伏歯の症例1は, 53歳の男性で上顎無歯顎である. 右側臼歯部口蓋側の粘膜に限局性の腫瘤を自覚し, 精査を目的に来院した. パノラマでは腫瘤相当部に特別な異常像を認めなかったが, 咬合法およびCTにて切歯管より後方の硬口蓋の中央部に歯冠を後内方に向けた埋伏歯が発見された. 症例2は28歳の女性で, 主訴の上顎智歯周囲炎に関して撮影されたパノラマでは見えなかった過剰歯と思われる埋伏歯が, 後に追加されたCT検査にて発見されたものである. 上記2症例に, パノラマで観察が可能であった成人の上顎前歯部埋伏歯6症例を加え, 計8症例のCT画像データを材料に3DCT画像を構築し, 1)歯冠および根尖の三次元的位置および埋伏方向, 2)一般的なパノラマ撮影の断層域と埋伏歯の位置関係について検討した. その結果, パノラマ撮影の断層域より外れた口蓋側で正中近くに位置し, 歯軸が正中矢状平面に対して平行な埋伏歯に, パノラマにて観察され難くなる隠密(ステルス)牲のあることが示唆された. このような位置の埋伏歯がパノラマで見えにくくなる主因は断層域から外れることにあると考えるが, X線不透過像となる頸椎および骨口蓋線との重複, および成人の埋伏歯で観察される骨性癒着や吸収も埋伏歯のステルス性に寄与したと思われる. |
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ISSN: | 0389-9705 |