MRIで脳にせまる
1978年, 自分が初めて米国で使った超伝導の臨床装置は0.3Tであった. それから25年, 今や, 世界の臨床は3Tの時代に突入している. 薬事承認が下り, 日本でも3T装置が正式な臨床装置として稼動を始め, 米国同様にwholebody capabilityを持つ完備した3T装置の時代も, もうそこまで到来している. 臨床医としての立場から見ても, 装置開発をする技術者の立場から見ても, MR装置の開発はplateauに達していることに気付く. 次世代装置である7~10T装置が, 臨床装置としては3T装置に勝るとは言い難い事実を考えると, 3T装置は究極の臨床装置となる可能性が高い. 3....
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 1978年, 自分が初めて米国で使った超伝導の臨床装置は0.3Tであった. それから25年, 今や, 世界の臨床は3Tの時代に突入している. 薬事承認が下り, 日本でも3T装置が正式な臨床装置として稼動を始め, 米国同様にwholebody capabilityを持つ完備した3T装置の時代も, もうそこまで到来している. 臨床医としての立場から見ても, 装置開発をする技術者の立場から見ても, MR装置の開発はplateauに達していることに気付く. 次世代装置である7~10T装置が, 臨床装置としては3T装置に勝るとは言い難い事実を考えると, 3T装置は究極の臨床装置となる可能性が高い. 3.0T装置の最大の長所である高いS/Nを利用し, かつ, 最大の短所である磁化率効果の高さに伴うartifactを抑えた画像法が, T2R(T2 reversed)画像である. 改めて特殊な撮像法を施行することなく, 肉眼的病理標本に勝るとも劣らない解像度を提供する本法は, 臨床のみならず, 脳科学においても重要な位置を占める. ひとりの被験者を対象とした一回のセッションで詳細な脳機能局在画像を提供するfunctional MRIは, 現在, 臨床, 脳科学の両面で欠かすことの出来ない技法となっている. fMRIに利用される還元ヘモグロビンにともなう磁化率効果の変化は極微小であり, 構造画像で使われる磁化率効果によるartifactを抑える手段が取れない. 従って, 磁化率効果の極端に高い3T装置でのfMRIの正当な施行には, これまでのMR画像学とは根本的に異なったいくつもの必須条件が生まれて来る. その反面, 磁化率効果の高さを利用してより高度なfMRIを施行することも可能となる. 施行者が適切なMRの知識を持ち, sequenceではなく, 装置の適正を高めることにより磁化率効果によるartifactを抑え, T2*contrastの正確な扱い方を守り, 正当性の高いfMRiデータの確保に努めることを前提とすれば, 3T装置は, 利点と欠点のバランスが最も効率よく取れた理想的なfMRI装置である. fMRIが偶然から登場したT2*強調画像の一応用であったのに対し, 元来, MRの基本技術として存在した技法を, 特異的な目的をもって発展させたものが拡散テンソル解析(diffusion tensor analysis, DTA)と総称される機能解析である. 脳における拡散の不等方性が軸索の走行方向と一致するとの経験的観測から, 軸索の走行解析に用いられることが多い. 画像断面全体の軸索ネットワークを示すAxonography(MRX)や, 目的とするtractを追跡するTrachtography(MRT)などが代表例である. fMRIの場合と同様に, 施行者が適切な知識と経験をもって施行することを前提とすれば, 3. 0T装置は, DTAにとっても利点と欠点のバランスが効率よく取れた装置であると言うことができる. 3. 0T装置の臨床への適合性とその優位性は明らかである. 構造画像から機能画像まで一台でこなしてしまう, 究極の画像診断装置となる可能性も秘めている. |
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ISSN: | 0389-9705 |