水を造影剤として用いたMR sialography

MRIは組織分解能が高く唾液腺腫瘍の診断でCTよりも有用といわれている. しかし, 通常のMRIのみでは, 悪性腫瘍と良性腫瘍との鑑別や多形性腺腫とワルチン腫瘍の鑑別が困難な場合が少なくない. 我々は, 第40回日本歯科放射線学会で, 生理食塩水をステノン管から注入して撮像したMR sialography(Saline-MR sialography)が, 耳下腺腫瘍の局在診断に有用であることを報告した. 今回は, 本法の耳下腺腫瘍における鑑別診断の有用性について報告する. 耳下腺腫瘍患者36名(多形性腺腫20, ワルチン腫瘍5, 基底細胞腺腫2, 粘表皮癌5, 扁平上皮癌2, その他の悪性腫瘍...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 2001, Vol.41 (suppl), p.36-36
Hauptverfasser: 阪本真弥, 日向野修一, 高橋昭喜, 永坂竜男, 梁川功, 斉藤美紀子, 飯久保正弘, 庄司憲明, 笹野高嗣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:MRIは組織分解能が高く唾液腺腫瘍の診断でCTよりも有用といわれている. しかし, 通常のMRIのみでは, 悪性腫瘍と良性腫瘍との鑑別や多形性腺腫とワルチン腫瘍の鑑別が困難な場合が少なくない. 我々は, 第40回日本歯科放射線学会で, 生理食塩水をステノン管から注入して撮像したMR sialography(Saline-MR sialography)が, 耳下腺腫瘍の局在診断に有用であることを報告した. 今回は, 本法の耳下腺腫瘍における鑑別診断の有用性について報告する. 耳下腺腫瘍患者36名(多形性腺腫20, ワルチン腫瘍5, 基底細胞腺腫2, 粘表皮癌5, 扁平上皮癌2, その他の悪性腫瘍2)を対象とした. 全症例でT1WI, T2WI, Saline MR sialographyを撮像した. Saline MR sialographyは約10mlの生理食塩水を耳下腺開口部から注入後, 高速スピンエコー法によるheavily T2WI(TR/TE/ETL:9010/256/27)を用いて撮像した. 各腫瘍ごとに, 腫瘍の信号強度を比較検討した. 通常のT1WIでは約8割の腫瘍が低信号を示した. 良性腫瘍のT2WIでは多形性腺腫, ワルチン腫瘍, 基底細胞腺腫ともに中間~高信号を示すものが多く, 鑑別できなかった. 悪性腫瘍の約半数はT2WIで低信号であったが, 残り半数は低~中間~高信号の混在した信号強度を示し, 良性腫瘍と悪性腫瘍の間にも一定の傾向は見られなかった. Saline MR sialographyでは, 多形性腺腫は低~中等度~高信号の様々な信号強度が混在し, 低信号のみの腫瘍は1症例であったのに対し, ワルチン腫瘍のほとんどが低信号を示した. また, 多くの悪性腫瘍の充実性部分はSaline MR sialographyで低信号を示した. saline MR sialographyの信号パターンは, 多形性腺腫, ワルチン腫瘍, 悪性腫瘍の組織像を反映し, 腫瘍の鑑別診断に有用であると思われた.
ISSN:0389-9705