上顎洞内埋伏歯の周辺に生じた不透過性病変の一例

今回われわれは, 上顎洞内埋伏歯辺に生じた不透過性病変の一例を経験したのでそのX線写真を供覧した. 患者は55歳女性, 主訴は左側上顎洞内の精査依頼で日本大学歯学部付属歯科病院口腔外科に紹介され来院した. 家族歴および既往歴に特記事項はなく, 現病歴としては, 平成10年11月頃, 通院中の某開業医にて左側上顎洞付近に歯牙様不透過像を指摘され, 同部精査を目的に当科を受診した. 初診時の体格は中等度, 顔貌は左右対称で鼻閉感および左側頬部の腫脹などはみられず, 口腔内の肉眼的異常, および相当部に圧痛, 違和感などの症状も認めなかった. 回転パノラマX線像および, 口内法X線像にて, 上顎左側...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 2001, Vol.41 (2), p.143-143
Hauptverfasser: 秋山裕, 小野正道, 佐藤廣, 新井嘉則, 荒木正夫, 橋本光二, 篠田宏司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:今回われわれは, 上顎洞内埋伏歯辺に生じた不透過性病変の一例を経験したのでそのX線写真を供覧した. 患者は55歳女性, 主訴は左側上顎洞内の精査依頼で日本大学歯学部付属歯科病院口腔外科に紹介され来院した. 家族歴および既往歴に特記事項はなく, 現病歴としては, 平成10年11月頃, 通院中の某開業医にて左側上顎洞付近に歯牙様不透過像を指摘され, 同部精査を目的に当科を受診した. 初診時の体格は中等度, 顔貌は左右対称で鼻閉感および左側頬部の腫脹などはみられず, 口腔内の肉眼的異常, および相当部に圧痛, 違和感などの症状も認めなかった. 回転パノラマX線像および, 口内法X線像にて, 上顎左側第二大臼歯根尖部上顎洞内に, 境界明瞭で不均一な類円形の不透過像がみられ, 内部には歯牙様像を認め, 下方は上顎洞底線に近接していた. 咬合法X線像では不透過像の大部分は歯牙様構造物であり, CT像では左側上顎洞の後壁に不整形のhighdensity像を認め, その中心に髄腔を有する歯牙様物が見られた. 洞内はairdensityを呈し病変と洞壁との連続性ははっきりしなかった. Ortho-CT像では病変の大きさは約20mm大で, 左側上顎洞洞底部から後壁への移行部にて有茎性を呈し, その周囲は洞壁と連続して確認でき, 内部にエナメル質, および髄腔を有する歯牙を認めた. 水平断像にて歯根がほぼ完成してみられた. 以上の所見より, 埋伏歯を含んだOsteomaの臨床診断のもと, 全身麻酔下にて開洞し摘出術を行ったところ, 上顎洞内後方部に正常粘膜に覆われた骨様硬組織を認め, 一塊として摘出した. 現在, 術後約2年経過したが違和感は認めず, 経過良好である. 摘出した硬組織は20.5mm×20mm×18mmで表面平滑, 弾性は骨様硬であり, 割面では内部に歯牙を認めた. 病理所見としては, 象牙質およびセメント質の歯牙様構造物を認め, その他hypercementosisと連続する梁状の骨組織および少量の線維性組織を呈しており, 臨床所見と併せて複雑性歯牙腫, あるいは奇形歯周囲に生じた骨の造成と考えられた.
ISSN:0389-9705