咽頭弁形成術の術前診査におけるMRAの有用性

背景と目的:VCF(velocardiofacial) syndromeは軟口蓋裂, 心循環器系異常, 特異的顔貌の3徴候を伴う症候群と定義され, しばしば内頸動脈の内側変位を伴う, との報告がある. 一般に唇顎口蓋裂を有する幼児は1歳6ヶ月時を目処に口蓋形成術を行うが, その後も口蓋閉鎖不全が残存する場合には後年, 咽頭弁形成術の適応となる. ところが, その中でもVCF syndromeの患者では, しばしば内頸動脈の内側変位を伴うため咽頭弁形成術時のリスクは高くなり, 手術を中断したとの報告もある. これまで欠陥の描出は, DSAやCTなどが用いられてきたが, 造影剤の使用とX線の被爆,...

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Hauptverfasser: 中谷温紀, 村上秀明, 柿本直也, 西山秀昌, 平田創一郎, 古川惣平
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景と目的:VCF(velocardiofacial) syndromeは軟口蓋裂, 心循環器系異常, 特異的顔貌の3徴候を伴う症候群と定義され, しばしば内頸動脈の内側変位を伴う, との報告がある. 一般に唇顎口蓋裂を有する幼児は1歳6ヶ月時を目処に口蓋形成術を行うが, その後も口蓋閉鎖不全が残存する場合には後年, 咽頭弁形成術の適応となる. ところが, その中でもVCF syndromeの患者では, しばしば内頸動脈の内側変位を伴うため咽頭弁形成術時のリスクは高くなり, 手術を中断したとの報告もある. これまで欠陥の描出は, DSAやCTなどが用いられてきたが, 造影剤の使用とX線の被爆, という欠点を有していた. そこで今回, VCF syndrome患者の咽頭弁形成術の術前検査として, MRAの有用性を検討することを目的とした. 対象と方法:大阪大学歯学部付属病院で咽頭弁形成術を予定していたVCF syndorome患者2名(15才, 17才で共に女性)を1.5テスラ超電導型スキャナ(GE社製)を用いて2DTOF(Time of Flight)法と3DTOF法にて撮像した. 各々のデータをワークステーション(Advantage Windows)に転送してSN比の比較, MIP(Maximum intensoty projection)処理後に三次元表示した場合の描出能を比較検討した. 結果:SN比の比較では2DTOFの方が3DTOFよりも高い値を示した. 太い血管のコントラストは2DTOFよりも3DTOFが良好であったが, 3DTOFでは細い血管が描出されないことがあった. 内頸動脈は2例とも明瞭に描出されており, その位置の確認はどちらのシーケンスでも可能であった. 1人の患者で内頸動脈の内側変異を認めたが手術に支障無いと判断され, これは手術所見と一致していた. 結論:2D MRAと比べて, 3D MRAの方が太い血管でのコントラストはよいが, 細い血管像で描出能が劣ることや撮像時間を考慮すると2D MRAで十分と考える. VCF syndromeの患者では術前検査としてMRAを用いるべきであると考える.
ISSN:0389-9705