最終的にCementomaと診断された下顎骨透過性病変の経年的画像変化について

今回我々は, 長期間の経過観察が可能であった下顎骨透過性病変について臨床経過と画像所見を中心に供覧する. 患者:64歳, 女性. 主訴:下顎右側大臼歯部の動揺. 現病歴:1986年根尖性歯周炎の診断にて下顎右側第2大臼歯の感染根管処置を受ける. その後1988年に歯髄炎の診断にて下顎右側第1大臼歯の抜髄処置を受ける. その後, 違和感は引き続きあったが, 治療に同意が得られなかったため, 長期間パノラマ写真による経過観察のみを行っていた. その間症状は出ていない. 現症:下顎右側第2大臼歯の動揺が認められた. 画像所見:1988年パノラマX線写真にて下顎右側第1第2大臼歯根尖を含む境界明瞭なX...

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Hauptverfasser: 神野和子, 加藤尊巳, 山城光明, 金田隆, 斉藤謹子, 宇都宮忠彦, 山本浩嗣
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:今回我々は, 長期間の経過観察が可能であった下顎骨透過性病変について臨床経過と画像所見を中心に供覧する. 患者:64歳, 女性. 主訴:下顎右側大臼歯部の動揺. 現病歴:1986年根尖性歯周炎の診断にて下顎右側第2大臼歯の感染根管処置を受ける. その後1988年に歯髄炎の診断にて下顎右側第1大臼歯の抜髄処置を受ける. その後, 違和感は引き続きあったが, 治療に同意が得られなかったため, 長期間パノラマ写真による経過観察のみを行っていた. その間症状は出ていない. 現症:下顎右側第2大臼歯の動揺が認められた. 画像所見:1988年パノラマX線写真にて下顎右側第1第2大臼歯根尖を含む境界明瞭なX線透過像を認め, 下顎孔付近にも境界明瞭のX線透過像を認めた. 1994年パノラマX線写真にて, 下顎右側第1小臼歯から第2大臼歯の根尖を含む境界明瞭な多房性のX線透過像を認め, 遠心は下顎孔付近に及んでいた. また, 下顎下縁皮質骨は菲薄化を呈しており, 内部は不均一でX線透過像と不透過像の混在を認めた. 1999年パノラマX線写真にて, 下顎右側第1第2大臼歯根周囲に境界明瞭なX線透過像を認め, その周囲に骨硬化を認めた. また, 下顎右側第1第2大臼歯根尖に連続して境界明瞭なX線不透過像を認めた. 下顎下縁皮質骨は骨硬化が進み, 前回X線透過像であった部位にも骨硬化が認められた. 処置及び経過:1999年11月, 下顎右側第2大臼歯の抜歯処置を行い, 病理組織検査を行った. 最終診断:So-called cementoma. まとめ:今回, 長期にわたり観察しえた下顎骨のX線透過性病変について検討を行った. 最終診断はSo-called cementomaであったが, 根尖病巣との鑑別が治療初期には非常に困難な症例であった.
ISSN:0389-9705