頸部リンパ節に転移を認めた上顎歯肉扁平上皮癌の一例について
上顎歯肉扁平上皮癌の頸部リンパ節へのいわゆる後発転移に関して, 諸家の報告によればその発現頻度は比較的低く平均10~20%程度とされている. 今回われわれは, 手術後2ヶ月で上深頸リンパ節に後発転移を認めた上顎歯肉扁平上皮癌の一例を経験したので, その概要を報告した. 症例:50歳, 女性. 現病歴:約1年前に左側上顎臼歯部歯肉に腫脹を自覚し, 開業医を受診したが症状は改善されず, 同部に潰瘍形成を認めたため, 平成11年11月1日本学付属歯科病院に紹介来院した. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 口腔内所見:左側上顎臼歯部口蓋側歯肉に約30mm大, 易出血性の乳頭状潰瘍形成が認められた. 画像...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 2000, Vol.40 (2), p.161-161 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 上顎歯肉扁平上皮癌の頸部リンパ節へのいわゆる後発転移に関して, 諸家の報告によればその発現頻度は比較的低く平均10~20%程度とされている. 今回われわれは, 手術後2ヶ月で上深頸リンパ節に後発転移を認めた上顎歯肉扁平上皮癌の一例を経験したので, その概要を報告した. 症例:50歳, 女性. 現病歴:約1年前に左側上顎臼歯部歯肉に腫脹を自覚し, 開業医を受診したが症状は改善されず, 同部に潰瘍形成を認めたため, 平成11年11月1日本学付属歯科病院に紹介来院した. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 口腔内所見:左側上顎臼歯部口蓋側歯肉に約30mm大, 易出血性の乳頭状潰瘍形成が認められた. 画像所見:初診時, 口内法X線写真で歯槽硬線, 骨梁の消失がわずかに認められ, 骨浸潤が疑われたが, CTでは骨浸潤は確認できなかった. MRIで同部はT1強調像で低信号, T2強調像で中~低信号を示すmass legionが認められ, 骨髄への進展が確認された. また術前のCT, MRIで顎下部, 頸部に異常なリンパ節の腫大は認められなかった. 同部の細胞診結果は扁平上皮癌であり, 口腔内所見, 画像所見からTNM分類はT_4 N_0 と診断された. 12月2日左側上顎骨部分切除術が施行され, 病理組織像から高分化型扁平上皮癌と診断された. 平成12年2月4日左側頸部に腫脹, 圧痛が認められたため画像診査を施行した. その結果, MRIで上深頸リンパ節に20mm×15mmの転移リンパ節が発現した. 同リンパ節は造影CT像で内部は低濃度, 周囲にring enhancementを伴っていた. また同部は内頸動・静脈と近接していた. 上顎歯肉扁平上皮癌の頸部リンパ節への後発転移は, 比較的発現頻度が低いとされている. しかしながら, 術後の画像診査では原発巣の再発の診査に加え, 上顎歯肉周囲のリンパ流が流れ込む上深頸リンパ節の診査は必須であり, 特に術後3ヶ月以内の同部の画像診査が必要と考えられた. |
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ISSN: | 0389-9705 |