下顎関節突起骨折におけるMRIの検討

目的: 下顎骨折は顎顔面領域で頻繁に遭遇する外傷性疾患の一つで, 損傷をうけた関節突起の微細な情報は予後を判断する上で必要不可欠である. そこで, 骨内はもとより軟部組織の診断にすぐれたMRIを用いて, 下顎関節突起骨折のMR所見とその有用性を検討した. 対象: 関節突起骨折の患者4症例(男性13~59歳平均37.3歳), 左右側8関節を対象とし, 受傷後MRI施行までの期間はそれぞれ2日, 4日, 2週, 2.5ヶ月であった. 受傷からMRI施行まで観血的処置は行われておらず, MRI施行の臨床症状はすべての症例に開口障害および咬合不全が認められた. 方法: 4症例(8関節)に対してMRI(...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 加藤尊巳, 山城光明, 神野和子, 金田隆
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的: 下顎骨折は顎顔面領域で頻繁に遭遇する外傷性疾患の一つで, 損傷をうけた関節突起の微細な情報は予後を判断する上で必要不可欠である. そこで, 骨内はもとより軟部組織の診断にすぐれたMRIを用いて, 下顎関節突起骨折のMR所見とその有用性を検討した. 対象: 関節突起骨折の患者4症例(男性13~59歳平均37.3歳), 左右側8関節を対象とし, 受傷後MRI施行までの期間はそれぞれ2日, 4日, 2週, 2.5ヶ月であった. 受傷からMRI施行まで観血的処置は行われておらず, MRI施行の臨床症状はすべての症例に開口障害および咬合不全が認められた. 方法: 4症例(8関節)に対してMRI(0.5T超電導型磁石装置)を使用し, それらMR像を複数の歯科放射線科医にて, 次の項目ついて検討した. 1)骨片の偏位, 2)円板の位置:骨折側(5関節)と非骨折側(3関節), 3)Fluidの有無:骨折側と非骨折側, 4)骨折線の信号, 5)骨折部の骨髄の信号, 6)周囲軟組織, 咀嚼筋のMR所見:骨折側と非骨折側, 以上6項目である. 結果: 1)骨折側の下顎頭(5関節中3関節)は下顎窩から脱臼し, 前内方に偏位が認められた. 2)骨折側の円板(5関節中3関節)は下顎頭上に接し前内方に偏位が認められた. また, これら円板の偏位は非骨折側の円板の偏位より著しかった. 3)骨折側の関節腔(5関節中3関節)に, 面状のFluidによる高信号域が認められた. また非骨折側に点状のFluidによる高信号域(3関節中1関節)が認められた. 4)5関節すべて骨折線は無信号に認められた. 5)下顎頭が下顎骨体から離断された症例は, 下顎頭より下顎骨体骨折部の信号が高かった. また, 若木骨折の症例における骨折部の骨髄信号は骨折線を境界に下顎頭側, 頸部側の両側において高信号であった. 6)非骨折側の乳突蜂巣部付近に血腫と思われる高信号域が認められ, 体軸横断像にて, 骨折側の咬筋, 外側翼突筋の腫脹, 信号の上昇, 表層脂肪の信号の上昇が認められた. 以上MRIはX線検査では得られなかった関節突起骨折における有用な検査法と示唆された.
ISSN:0389-9705