下顎頭に発生した外骨症の一例

緒言:外骨症は顎口腔領域において, 下顎隆起あるいは口蓋隆起として知られている. 顎関節領域, 特に下顎頭に発生することは稀であり, また骨腫との鑑別が難しいとされている. 今回我々は, 下顎頭の外骨症を経験したのでその臨床所見と共にX線写真を供覧する. 症例:53歳, 女性. 咬合の異常と顔貌の変化を主訴として来院. 以前より左側顎関節部の違和感を自覚していたが, 1ヵ月前に咬合の異常と顔貌の変化を認め, 徐々に咬合異常の増悪を自覚した. 紹介医で相談ののち来院を勧められた. 顔貌は左右非対称, 下顎の正中が右側へ3mm偏位していた. 開口量は46mm, 左側は前歯部から大臼歯部にかけて開咬...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 1999-10, Vol.39 (suppl), p.129-129
Hauptverfasser: 竹内徹, 工藤隆治, 前田直樹, 細木秀彦, 上村修三郎, 吉田秀夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言:外骨症は顎口腔領域において, 下顎隆起あるいは口蓋隆起として知られている. 顎関節領域, 特に下顎頭に発生することは稀であり, また骨腫との鑑別が難しいとされている. 今回我々は, 下顎頭の外骨症を経験したのでその臨床所見と共にX線写真を供覧する. 症例:53歳, 女性. 咬合の異常と顔貌の変化を主訴として来院. 以前より左側顎関節部の違和感を自覚していたが, 1ヵ月前に咬合の異常と顔貌の変化を認め, 徐々に咬合異常の増悪を自覚した. 紹介医で相談ののち来院を勧められた. 顔貌は左右非対称, 下顎の正中が右側へ3mm偏位していた. 開口量は46mm, 左側は前歯部から大臼歯部にかけて開咬状態であった. 開口時には下顎骨の正中が左方に偏位し, その際右側では関節雑音を認めた. 左側に聴覚の異常は認めなかった. また, 明らかな打撲あるいは外傷歴はなかった他, 全身状態にも特記事項はなかった. パノラマX線写真では, 左側下顎頭の前面に下顎頭に連続する不定型のX線不透過像を認め, その輪郭は一層の骨皮質で覆われていた. 内部には骨梁構造も認めた. CT画像では, 左側下顎頭の前面から前内方に下顎頭と同程度のX線写真濃度を呈する隆起を認めた. その隆起と本来の下顎頭との境界は不明瞭であった. 側面X線断層像の咬頭嵌合位では, 左側下顎頭は関節結節の下方に位置し, 最大開口位では関節結節を大きく越えたところに位置していた. 以上の所見より下顎頭骨腫という診断のもとに, 下顎枝後縁切離術で外科的に切除したのち下顎頭形成術が施行された. 病理組織診断の結果, 腫瘍性の増殖は認められず外骨症と診断された. 手術後約10ヵ月のCT画像では, 明瞭な骨皮質の再生は認められないものの再発の兆候はなかった. 現在, 予後を経過観察中である.
ISSN:0389-9705