全身疾患と口腔症状に関する診断学的研究
緒言:近年, 疾病構造の変化に伴い, 口腔粘膜の知覚異常や三叉神経痛様疼痛を主訴として歯科を受診する患者は増加傾向にある. その中で, 脳頭蓋病変に起因するものは約10%といわれている. 今回, 我々は, 口腔症状を初発とし, 確定診断までに長い経過をたどった右側小脳橋角部腫瘍の2例を経験したので診断学的見地から報告する. 症例1:60歳, 女性. 初診:1998年9月21日. 主訴:右側口蓋部のしびれ感. 現病歴:1997年12月, 舌尖部の違和感があり, その後, 右側上顎前歯部口蓋側歯肉にしびれ感が生じたため内科, 神経科, 耳鼻科を受診し精査を受けたが, とくに異常はないと言われた....
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 1999, Vol.39 (suppl), p.36-36 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言:近年, 疾病構造の変化に伴い, 口腔粘膜の知覚異常や三叉神経痛様疼痛を主訴として歯科を受診する患者は増加傾向にある. その中で, 脳頭蓋病変に起因するものは約10%といわれている. 今回, 我々は, 口腔症状を初発とし, 確定診断までに長い経過をたどった右側小脳橋角部腫瘍の2例を経験したので診断学的見地から報告する. 症例1:60歳, 女性. 初診:1998年9月21日. 主訴:右側口蓋部のしびれ感. 現病歴:1997年12月, 舌尖部の違和感があり, その後, 右側上顎前歯部口蓋側歯肉にしびれ感が生じたため内科, 神経科, 耳鼻科を受診し精査を受けたが, とくに異常はないと言われた. その後, 1998年9月, 知覚異常の範囲が臼歯部にまで広がったため当科に来院した. 現症:軽度の慢性辺縁性歯周炎があるが, その他粘膜の異常所見は認められなかった. 経過:脳腫瘍を疑い脳神経外科に紹介し, 小脳橋角部聴神経鞘腫の診断のもとに放射線治療を受け, 症状軽減. 症例2:56歳, 女性. 初診:1998年11月19日. 主訴:右側大臼歯部および舌の疼痛. 現病歴:1984年9月, 談話時, 開口時, 接触時に右側下顎臼歯部歯肉および舌の電激痛のため, 外科にて三叉神経痛の診断のもとにテグレトールを処方され, さらに, 歯科にて32の抜髄処置を受けたが軽快しなかった. 1992年4月, 脳神経外科にて右側小脳橋角部類上皮腫および三叉神経痛の診断のもとにテグレトールを処方されたが, 1998年11月疼痛発作間隔が短縮したため歯科的精査のため当科に来院. 現症:全歯にわたり軽度の慢性辺縁性歯周炎があるがその他粘膜の異常所見なし. 7ml, pocket 5mm, PP(-). 経過:類上皮腫の増大傾向なし. 疼痛発作間隔延長. 考察:顎顔面領域の神経痛および知覚異常の症例には, 脳頭蓋病変に起因する場合があり, このような場合, 早期のCTおよびMRIの検査が重要である. |
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ISSN: | 0389-9705 |