CTにおいて内部に不透過像を認めた角化嚢胞の症例報告

歯原性角化嚢胞は20代に発症のピークがあり主として下顎第3大臼歯部から下顎枝部にかけて発症する発育性の歯原性嚢胞である. 単純撮影において周囲に菲薄な白線を示すマージンをもつ単胞性, あるいは多胞性の透過像として認められる. 感染や病巣の拡大により腫脹をきたさないかぎり症状はみられないが, 非常に浸潤しやすく摘出手術後20~50%と高率で再発することが報告されている. 現在まで組織学的に嚢胞上皮下結合織内に13%の割合で石灰化物がみられるとの報告があるが, 今回我々は嚢胞内部に不透過像がみられる角化嚢胞についての症例報告を行った. 患者は24歳の男性で特記すべき既往歴はなし. 平成10年8月1...

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Hauptverfasser: 阿部真士, 西山秀昌, 川井直彦, 岸野万伸, 渕端孟
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯原性角化嚢胞は20代に発症のピークがあり主として下顎第3大臼歯部から下顎枝部にかけて発症する発育性の歯原性嚢胞である. 単純撮影において周囲に菲薄な白線を示すマージンをもつ単胞性, あるいは多胞性の透過像として認められる. 感染や病巣の拡大により腫脹をきたさないかぎり症状はみられないが, 非常に浸潤しやすく摘出手術後20~50%と高率で再発することが報告されている. 現在まで組織学的に嚢胞上皮下結合織内に13%の割合で石灰化物がみられるとの報告があるが, 今回我々は嚢胞内部に不透過像がみられる角化嚢胞についての症例報告を行った. 患者は24歳の男性で特記すべき既往歴はなし. 平成10年8月16日に下顎左側第1小臼歯から第1大臼歯部の歯肉腫脹を訴え翌17日に歯科を受診した. パノラマ撮影において骨透過像を指摘され, 19日に精査を希望され本学歯学部口腔外科を受診した. 初診時に左下顎骨体の軽度腫脹を認め, 下顎左側第1小臼歯部根尖相当部に半球状の径15mmの腫脹と波動をみとめた. 初診時にパノラマ, デンタル, 咬合法の撮影を行い翌20日にCT撮影を行った. 9月14日に歯頸部のみの切開により下顎左側第1小臼歯根尖付近の嚢胞壁を一部切除しBiopsyを行った. 組織像は上皮が錯角化を示す典型的な歯原性化嚢胞であった. 単純写真では下顎左側小臼歯, および第1大臼歯相当部顎骨内に境界明瞭な白線を伴う類円形の透過像が認められた. 内部は均一であり, 不透過物などは認められなかった. CT撮影を行ったところ造影性はなくcystと考えられた. 顎骨内の透過像内部にCT値120程度の不透過物が認められた. CT値から考えて石灰化物, もしくは吉浦らの報告している角化物の凝集塊が考えられた.
ISSN:0389-9705