画像診断にて存在部位を推測し得た舌口底血管腫の1症例

血管腫は身体各部に発生し, 特に頭頸部領域に多いと報告されている. そして, 血管腫が深在性の場合, 存在診断は必ずしも容易ではなく, 画像診断の重要性が増している. 今回我々は, 舌口底血管腫と臨床診断した症例に対し, 総合画像診断にて血流動態を推測し質的診断をし得た症例の画像供覧を行い, その概要を報告した. 患者は14歳の女児で, 約半年程前から時々オトガイ下部に違和感と腫脹を覚え, 精査希望して当科を受診した. 初診時, 顎顔面部の腫脹はなく, 唾液の流出は良好で, 触診にても腫瘤性の病変を触知せず, 舌深静脈の軽度な怒脹のみを認めた. 臨床検査値および顎顔面領域での通常のレントゲン検...

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Hauptverfasser: 豊田哲郎, 河合幹, 河合俊彦, 木下弘幸, 山森恒治, 内藤宗孝, 織家茂, 木下基司, 渡邉哲, 牧野直樹, 廣田英輝, 石口恒男
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血管腫は身体各部に発生し, 特に頭頸部領域に多いと報告されている. そして, 血管腫が深在性の場合, 存在診断は必ずしも容易ではなく, 画像診断の重要性が増している. 今回我々は, 舌口底血管腫と臨床診断した症例に対し, 総合画像診断にて血流動態を推測し質的診断をし得た症例の画像供覧を行い, その概要を報告した. 患者は14歳の女児で, 約半年程前から時々オトガイ下部に違和感と腫脹を覚え, 精査希望して当科を受診した. 初診時, 顎顔面部の腫脹はなく, 唾液の流出は良好で, 触診にても腫瘤性の病変を触知せず, 舌深静脈の軽度な怒脹のみを認めた. 臨床検査値および顎顔面領域での通常のレントゲン検査でも特別な異常所見は認めなかった. 初診時臨床診断:舌口底血管腫または同部のAVM(疑い). MRI撮影にてT1強調像では低信号強度, T2強調像にて瀰慢性の高信号強度を呈した病変部は, 舌尖下面と舌下部正中から両側顎下部, 左側上内深頸領域, 傍咽頭腔に存在し, 広域の海綿状血管腫を疑診した. 造影MRIと^^99m Tcによる血液プールシンチ(特にSPECT)にて海綿状血管腫と質的診断した. 硬化療法を計画して, 血流速度と動態を把握するためdynamic MRIを実施したところ, 造影MRIで推測されていた所見よりも一部に速い血流が流入して, 硬化療法の実施には検討を要する所見であった. そこで超選択的塞栓術も考慮し, DSAを施行した. 左右下動脈造影にて海綿状血管腫に特徴的な所見であるcottonwool appearanceを認めるも, 異常な新生血管ならびその他MRIでの描出された領域は血管造影での異常を認めなかったため, 積極的治療の適応症でないと判断し, 現在経過観察中である.
ISSN:0389-9705