下顎骨にみられたOdontoameloblastomaの1例
Odontoameloblastomaはエナメル質, 象牙質, 歯原性上皮を有する歯原性の混合性腫瘍で, ameloblastic fibro-odontomaと類似するが, 腫瘍的性格はameloblastomaと同じく局所的浸襲性が高い疾患であるといわれている. 今回は, X線写真上で単胞性の透過像の中に歯牙様構造物を認めたため, 嚢胞性歯牙腫や石灰化歯原性嚢胞を疑った症例である. 患者は14歳の男性で, 初診は平成9年8月29日に下顎前歯部の膨隆を主訴に来院した. 既往歴として, 気管支喘息の既往がある. 現病歴として平成9年4月頃より下顎前歯部顎骨に膨隆を自覚し, 増大傾向と共に疼痛を...
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Zusammenfassung: | Odontoameloblastomaはエナメル質, 象牙質, 歯原性上皮を有する歯原性の混合性腫瘍で, ameloblastic fibro-odontomaと類似するが, 腫瘍的性格はameloblastomaと同じく局所的浸襲性が高い疾患であるといわれている. 今回は, X線写真上で単胞性の透過像の中に歯牙様構造物を認めたため, 嚢胞性歯牙腫や石灰化歯原性嚢胞を疑った症例である. 患者は14歳の男性で, 初診は平成9年8月29日に下顎前歯部の膨隆を主訴に来院した. 既往歴として, 気管支喘息の既往がある. 現病歴として平成9年4月頃より下顎前歯部顎骨に膨隆を自覚し, 増大傾向と共に疼痛を生じてきた. そのため近歯科医を受診した際に, 回転パノラマX線像にて透過像がみられたため本大学歯科病院を紹介された. 現症としては, 口腔内は左側下顎前歯部から臼歯部歯肉頬移行部にかけて, 境界明瞭で鶏卵大の羊皮紙様感を呈する骨の膨隆を認めた. その粘膜面は正常であった. 下顎前歯は中等度の動揺がみられた. 臨床検査成績には特別な所見はなかった. 初診時のパノラマX線像では, 境界明瞭な単胞性の透過像の中に塊状の歯牙様構造物を有し, 下方に移動された左側下顎犬歯が存在した. 口内法X線像では, 透過性病変の辺縁近くで左側下顎第1小臼歯の根尖部付近に歯牙様構造物を多数認めた. また病変と隣接する歯根には吸収がみられた. 咬合法像では頬舌側への膨隆が著明にみられた. 我々の教室で開発したOrtho-CTによるX線像では, 病変は頬側皮質骨に対して内側面からscallop様吸収を呈し, 埋伏する犬歯は歯冠を嚢胞様透過像に囲まれていたが, 病変とは一層の骨が存在していることが把握できた. 本疾患に対する手術は生検と同時に開窓療法を施行し, その後埋伏する犬歯と腫瘍摘出術を行った. 病理組織学的検査で, Odontoameloblastomaと診断された. |
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ISSN: | 0389-9705 |