顎下腺外側に発育した多形性腺腫の画像所見
多形性腺腫は, 耳下腺および顎下腺に最も高頻度に出現する疾患であるが, ときに頸部にも発生することがある. 我々は, 顎下腺外側に発育し, 腺体外腫瘤に類似する画像所見を呈した顎下腺多形性腺腫の2例を経験した. その画像所見の特徴を明らかにし, 鑑別診断および出現頻度について考察する. 〔検査方法〕超音波診断装置はSequoia 512(アキュソン社製)で, B-modeの中心周波数は8.0-10.0MHz, Doppler modeは7.0MHz, 流速レンジ0.014-0.021m/sを用いた. CT装置はSOMATOMDR(シーメンス社製)を用い, F-H平面と下顎下縁平面に平行にスライ...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 多形性腺腫は, 耳下腺および顎下腺に最も高頻度に出現する疾患であるが, ときに頸部にも発生することがある. 我々は, 顎下腺外側に発育し, 腺体外腫瘤に類似する画像所見を呈した顎下腺多形性腺腫の2例を経験した. その画像所見の特徴を明らかにし, 鑑別診断および出現頻度について考察する. 〔検査方法〕超音波診断装置はSequoia 512(アキュソン社製)で, B-modeの中心周波数は8.0-10.0MHz, Doppler modeは7.0MHz, 流速レンジ0.014-0.021m/sを用いた. CT装置はSOMATOMDR(シーメンス社製)を用い, F-H平面と下顎下縁平面に平行にスライス厚4mmの経静脈造影による撮影を行った. 〔症例1〕37歳男性 超音波所見:右側顎下腺前外側に多数のhypoechoic massの集簇像のように見える腫瘤が認められ, それぞれの小腫瘤の内部エコーは均一, 後方エコーの増強を伴なっていた. 血流は小腫瘤間に認められた. CT所見:右側顎下腺前外側に約50×30mmの外形凹凸不正, 内部やや不均一に造影された腫瘤を認めた. 顎下腺との境界は一部で接し, その上下では顎下腺を圧排していた. 両側オトガイ下, 上内深頸部, 左側顎下部にもリンパ節の腫大を認めた. 〔症例2〕61歳男性 超音波所見:左側顎下腺前方に分葉状のhypoechoic massを認めた. 腫瘤の境界は一部被膜様構造を伴い, 比較的明瞭だが, 顎下腺との境界は一部不明瞭であった. 内部エコーはほぼ均一で, 弱い後方エコーの増強を伴なっていた. 血流は腫瘤内部にわずかに認められた. CT所見:左側顎下腺前外側に直径約15mmの外形凹凸不正, 内部やや不均一に造影された腫瘤を認めた. 顎下腺との境界は一部で接し, 圧排していた. この腫瘤以外にはリンパ節の腫大は認められなかった. 〔考察〕超音波像では, 分葉状の腫瘤を多数のリンパ節の集簇像と診断しないように, 腫瘤の辺縁の小さな凹凸に注目すべきである. また, 内部エコー性状と血流の描出パターンにより, 炎症性リンパ節腫大あるいは悪性リンパ腫との鑑別が可能であると考えられた. CTで認められた, 腫瘍と顎下腺との密着性および腫瘍による顎下腺の圧排像は, 顎下腺起源を示唆する所見と考えられるが, 超音波像ではこれらの所見の把握は困難であった. |
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ISSN: | 0389-9705 |