単純性骨嚢胞と静止性骨空洞の画像診断学的検討

下顎骨にみられるいわゆる偽嚢胞疾患として, 単純性骨嚢胞と静止性骨空洞がある. 単純性骨嚢胞は歯槽中隔に入り込んだscalloping所見や, 辺縁のpreliminary pencil sketch appearance所見, 静止性骨空洞は下顎角部の下顎骨下縁に接した嚢胞様X線透過像を特徴とする. いずれも典型像を呈した場合には, パノラマ写真のみで他の嚢胞性あるいは腫瘍性病変との鑑別診断は容易である. しかし両疾患においても, パノラマ像のみでは診断に苦慮する症例も少なくない. そこで, 今回は, パノラマ像において上記の典型像を呈さずに, 診断が困難であった単純性骨嚢胞と静止性骨空洞の...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 1997, Vol.37 (suppl), p.93-93
Hauptverfasser: 角美佐, 米津康一, 中村卓
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:下顎骨にみられるいわゆる偽嚢胞疾患として, 単純性骨嚢胞と静止性骨空洞がある. 単純性骨嚢胞は歯槽中隔に入り込んだscalloping所見や, 辺縁のpreliminary pencil sketch appearance所見, 静止性骨空洞は下顎角部の下顎骨下縁に接した嚢胞様X線透過像を特徴とする. いずれも典型像を呈した場合には, パノラマ写真のみで他の嚢胞性あるいは腫瘍性病変との鑑別診断は容易である. しかし両疾患においても, パノラマ像のみでは診断に苦慮する症例も少なくない. そこで, 今回は, パノラマ像において上記の典型像を呈さずに, 診断が困難であった単純性骨嚢胞と静止性骨空洞の症例についてCT像を中心に画像診断学的に検討した. 対象: 対象は, 当科においてパノラマ撮影及びCT検査を実施した症例であり, 単純性骨嚢胞7例(全例女性), 静止性骨空洞8例(全例男性)である. 結果: 1)単純性骨嚢胞については, 7例中2例において, 根尖部を含んだX線透過像を呈しており, 歯根嚢胞と類似していた. 2)7例中1例においては, 病巣の範囲が, 下顎枝まで拡がり, 埋伏した智歯を含んでいた. この症例については, エナメル上皮腫や角化嚢胞との鑑別が必要であった. 3)静止性骨空洞については, 8例中3例は, 下顎下縁に接さず, 比較的小さい類円形のX線透過像を呈しており, 角化嚢胞も疑われる症例であった. 4)8例中1例においては, 根尖を含んだ類円形のX線透過像を示し, 歯根嚢胞との鑑別が必要であった. 本総会では, これらの症例について, 画像を供覧しながら報告する予定である.
ISSN:0389-9705