歯科治療後の切削バー破片の影響によるMRIメタルアーチファクトの検討

〔背景〕従来から種々金属のMRIのメタルアーチファクトの検討は多くの報告がなされており, 磁性体の種類とその量でメタルアーチファクトの大きさが決定されるとほぼ結論されている. しかしながらMRI撮影時に同じ金属, 同じ量の歯冠修復物でありながら, 日常臨床において口腔内のメタルアーチファクトの大きさが違うことにたびたび遭遇する. はたして歯科用金属の種類とその量だけですべての口腔内のメタルアーチファクトが説明できるのであろうか. 〔目的〕歯科治療後の切削バー破片の影響によるMRIメタルアーチファクトの検討 〔対象及び方法〕対象は2匹のビーグル(10Kg)犬を用いた. 2匹の犬に全身麻酔下にて両...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 1997, Vol.37 (suppl), p.46-46
Hauptverfasser: 金田隆, 山城光明, 鈴木宏巳, 字都宮忠彦, 山本浩嗣, 南学, 佐々木康人, Hugh D.Curtin
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔背景〕従来から種々金属のMRIのメタルアーチファクトの検討は多くの報告がなされており, 磁性体の種類とその量でメタルアーチファクトの大きさが決定されるとほぼ結論されている. しかしながらMRI撮影時に同じ金属, 同じ量の歯冠修復物でありながら, 日常臨床において口腔内のメタルアーチファクトの大きさが違うことにたびたび遭遇する. はたして歯科用金属の種類とその量だけですべての口腔内のメタルアーチファクトが説明できるのであろうか. 〔目的〕歯科治療後の切削バー破片の影響によるMRIメタルアーチファクトの検討 〔対象及び方法〕対象は2匹のビーグル(10Kg)犬を用いた. 2匹の犬に全身麻酔下にて両側下顎小臼歯に歯冠修復を施行した. 2匹ともにダイヤモンドバーを用いて右側下顎小臼歯には歯冠修復物のマージンを歯肉縁と同じ位置に, 左側下顎小臼歯には歯冠修復物のマージンを歯肉縁下1mmに設定した. 歯冠形成後シリコン印象材にて印象し, 一週間後12%金パラジューム(12%Au, 56%Ag, 20%Pa, 10%Cu, 1.5%Zn)歯冠修復物を両側下顎小臼歯にグラスアイオノマーセメント(Ketac silver glass cement:ESPE, Pharmazeutischer Praparate GmbH & Co., Seefeld, Germany)にて合着した. さらに一週間後2匹の犬をMRI(1.5Tesla, Magnetom Vision, Siemens-Asahi Meditech., Tokyo)で撮像した. 撮像条件はFast SE法(TR 4000msec, TE 99.0msec, 11 echo trains, 4 acquisitions, 154×256matrix, 150×150mm field of view, 3mm section 4.5mm section interval)を用いた. MRIは2回撮像し, 1回撮像後左側下顎小臼歯の歯冠修復物を前歯部にグラスアイオノマーセメントで合着し, 再びMRIを撮像した. その後2匹の犬は別の目的で屠殺されたため, 両側下顎小臼歯の周囲歯肉を切除し同部歯肉の病理組織検索及びX線解析を施行した. 〔結果〕MRIにて両側下顎小臼歯にアーチファクトがみられ, 左側下顎小臼歯の歯冠修復物のマージンを歯肉縁下1mmに設定した左側の方がアーチファクトが大きかった. また同部の歯冠修復物を撤去し, 前歯部にグラスアイオノマーセメントで合着し, 再びMRIを撮像しても左側下顎小臼歯部のアーチファクトの大きさは変わらず, また前歯部にはアーチファクトが生じなかった. 左側下顎小臼歯の歯肉には病理組織学検索にて切削バー破片がみられ, X線解析にて鉄が検出された. メタルアーチファクトは歯肉の損傷に大きく左右され歯肉縁下のマージン設定部の方が歯肉に迷入した鉄の量も多く, アーチファクトも大きかった. 歯科治療後の歯肉に迷入した切削バー破片がMRIのアーチファクトを引き起こすことが示唆された.
ISSN:0389-9705