口腔癌術後の再建フラップ部のCTによる評価

〔目的〕口腔癌術後の再建フラップ組織をCTにより経時的に観察し, 腫瘍再発の有無および所見を把握する. 〔対象および方法〕1988年から1995年に口腔扁平上皮癌で再建術を施行された36症例(12症例に再発)である. 再建術の内訳は, 大胸筋皮弁23症例, 前腕皮弁13症例である. 再発の有無は術後2年以上の臨床および画像診断または組織学的診断にて判定した. 全症例について, 経時的にエンハンスの有無を+, ±, -で判定した. また再発症例に関して, 再発部位, フラップ部脂肪層の変化について検討した. 再発部位に関しては, フラップ脂肪層辺縁に限局したもの(辺縁部)と, 辺縁に限局しない瀰...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 1997, Vol.37 (3), p.253-254
Hauptverfasser: 筑井徹, 湯浅賢治, 吉浦一紀, 中山英二, 神田重信, 大関悟, 篠原正徳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕口腔癌術後の再建フラップ組織をCTにより経時的に観察し, 腫瘍再発の有無および所見を把握する. 〔対象および方法〕1988年から1995年に口腔扁平上皮癌で再建術を施行された36症例(12症例に再発)である. 再建術の内訳は, 大胸筋皮弁23症例, 前腕皮弁13症例である. 再発の有無は術後2年以上の臨床および画像診断または組織学的診断にて判定した. 全症例について, 経時的にエンハンスの有無を+, ±, -で判定した. また再発症例に関して, 再発部位, フラップ部脂肪層の変化について検討した. 再発部位に関しては, フラップ脂肪層辺縁に限局したもの(辺縁部)と, 辺縁に限局しない瀰漫性のもの(周辺部)に区分した. 前者は, 前方・後方・上方に区別した. 脂肪層の変化は, 腫瘍軟組織が浸潤していく様子が確認できた症例を, 腫瘍軟組織の浸潤と判断し, 全体のCT値が上昇し脂肪層が, 全く認められなくなった症例を脂肪層消失と判断した. 以上の項目について3人の歯科放射線科医が判定した. 〔結果〕再発のあった症例ではほぼ全症例, 時期に関わらずエンハンスを認めた. 再発のない症例では, 術後0-3Mで+, ±, -は, 3, 2, 2症例であり, 3-6Mでは, 1, 1, 4症例, 6-24Mでは, 2, 2, 8症例であった. 再発症例の再発部位は, 8症例が辺縁部(前方1, 後方5, 上方2)4症例が周辺部であった. 後方部より再発した5症例は, 脂肪層への軟組織浸潤が確認でき, 周辺部の2症例と前方部の1症例は, 脂肪の消失が認められた. 〔まとめ〕 1)再発のない症例では, 術後3ヵ月まではエンハンスが認められたが(5/7症例), 3-6ヵ月で, 次第にエンハンスを認めなくなった(4/6症例). これより3-6ヵ月で術後変化が収まると考えられた. 2)再発部位は, flapの辺縁部と周辺部に分けられた. 前者は, 特に後方部(血管周囲)からの再発が, 多かった(5/12症例). 3)脂肪層への軟組織の浸潤, 脂肪層の消失は, 再発を示唆する所見と考えられた.
ISSN:0389-9705