下顎骨にみられたエナメル上皮腫の4例についての検討
エナメル上皮腫は一般に多胞性の透過像を呈するものが多いとされているが, それらの中でも胞の小さいもの, 大きなものなど多様な形態をとるものから, 単胞性のものは嚢胞を思わせるX線像を呈するものも存在する. また, 最近では内部に石灰化を伴うものまで報告され, 幅広い病態像を有すると言われている. しかしながら, このようなエナメル上皮腫のX線所見と病理組織学的所見との詳細な比較は少なく, ほとんど検討されていない. そこで今回我々は, 病理組織学的にエナメル上皮腫の診断が得られた症例について, そのX線所見と病理組織学的所見をretrospectiveに対比し, X線学的鑑別診断を行う上での重...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 1997, Vol.37 (3), p.252-253 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | エナメル上皮腫は一般に多胞性の透過像を呈するものが多いとされているが, それらの中でも胞の小さいもの, 大きなものなど多様な形態をとるものから, 単胞性のものは嚢胞を思わせるX線像を呈するものも存在する. また, 最近では内部に石灰化を伴うものまで報告され, 幅広い病態像を有すると言われている. しかしながら, このようなエナメル上皮腫のX線所見と病理組織学的所見との詳細な比較は少なく, ほとんど検討されていない. そこで今回我々は, 病理組織学的にエナメル上皮腫の診断が得られた症例について, そのX線所見と病理組織学的所見をretrospectiveに対比し, X線学的鑑別診断を行う上での重要な所見について検討した. 症例は以下に示すとおりである. 症例1 患者は25歳の女性で右側下顎智歯周囲の腫脹が気になるという主訴で来院した. 初診時のパノラマX線写真では歯根を取り囲み境界明瞭な類円形のX線透過像を認めた. X線所見からはprimordial cystとameloblastomaが考えられた. 症例2 患者は79歳の男性で右側下顎部の歯肉の腫脹を主訴に来院した. 初診時のパノラマX線写真で右側下顎小臼歯相当部に類円形で単胞性の境界明瞭な透過像を認めた. X線所見からはresidual cystとodontogenic keratocystが考えられた. 症例3 患者は29歳の女性で右側オトガイ部に違和感を感じるという主訴で来院した. 初診時のパノラマX線写真では右側下顎第二小臼歯と第一大臼歯の間に辺縁不整な透過像がみられ, 内部は薄い線状の網目様構造を呈していた. X線所見からはodontogenic mxyomaが考えられた. 症例4 患者は52歳の女性で左側下顎犬歯部の腫脹の主訴で来院した. 初診時のパノラマX線写真では左側下顎側切歯と犬歯間に歯根を離開させる境界明瞭な透過像と不透過像の混在する像を認めた. X線所見からはfibro-osseous lesionが考えられた. 〔結論〕嚢胞形成のみられたタイプと充実性タイプのものでは辺縁形態, 内部構造などのX線所見に差がみられた. 一般にX線学的鑑別診断を行う上で, X線所見に対する考え方の相違や経験上の思い込みなどが影響すると考えられ, さらに今回検討した症例では病変の発生部位, 形態, 内部構造がとくに診断に影響を及ぼしていた. |
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ISSN: | 0389-9705 |