下顎第2大臼歯根尖部病変のパノラマ画像(嚢胞様)とCT画像との対比

今回, 右下臼歯部に特異的な画像所見を呈し, Histiocytosis Xと病理診断された症例を, パノラマ画像とCT画像を中心に検討を加えた. 患者は, 37歳男性で, 平成6年12月に右下顎第1大臼歯の治療を受けたが, その時のデンタル写真には異常所見は見られなかった. 約1年半後の平成8年6月の再診時のデンタル写真では, 第2大臼歯根尖部を中心に境界がやや不明瞭な楕円形の骨破壊像が見られた. パノラマ画像では, 第1大臼歯根尖部から智歯遠心部にかけての骨体部に, 境界がやや不明瞭な嚢胞様の辺縁を呈している骨破壊像がみられた. 特に第1大臼歯遠心根部から第2大臼歯近心根部にかけての骨破壊...

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Hauptverfasser: 谷口拓郎, 森田康彦, 平岡孝志, 野井倉武憲
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回, 右下臼歯部に特異的な画像所見を呈し, Histiocytosis Xと病理診断された症例を, パノラマ画像とCT画像を中心に検討を加えた. 患者は, 37歳男性で, 平成6年12月に右下顎第1大臼歯の治療を受けたが, その時のデンタル写真には異常所見は見られなかった. 約1年半後の平成8年6月の再診時のデンタル写真では, 第2大臼歯根尖部を中心に境界がやや不明瞭な楕円形の骨破壊像が見られた. パノラマ画像では, 第1大臼歯根尖部から智歯遠心部にかけての骨体部に, 境界がやや不明瞭な嚢胞様の辺縁を呈している骨破壊像がみられた. 特に第1大臼歯遠心根部から第2大臼歯近心根部にかけての骨破壊像が著明で, また智歯遠心部または下顎下縁にかけての頬, 舌側の破壊の状態が異なる所見を呈した. さらに下歯槽管は骨体部ではくびれたようになり, 下顎孔付近で拡大している様な所見を呈した. CT画像では, 第1大臼歯根尖部から智歯遠心部にかけての骨体部に, 辺縁が不規則な骨破壊像が見られた. 根尖部あたりの頬舌側の骨皮質は破壊されていたが, 下顎下縁にかけては舌側の骨破壊が著しく, 頬側の骨は残存していた. 通常スキャンの1mmスライス画像では, 病変部の上方では, 頬舌側の皮質骨と海綿骨の両方とも破壊されていたが, 下方では, 頬舌側の皮質骨が破壊され, 頬側では1部薄い骨を残していたが, 膨隆所見は認められなかった. また残存した海綿骨は著しい硬化を示していた. デンタルCTでは, 大臼歯部では舌側から病変が下歯槽管に達し, 下歯歯槽管の舌側壁の破壊が認められた. 多断面再構成法による矢状断面画像においては, 大臼歯部から後方にかけての下歯槽管の拡大が認められた. 今回の症例では, 病変の進展範囲, 骨破壊の状態が通常の様相とはかなり異なっていた.
ISSN:0389-9705