舌腫瘍患者治療後の嚥下動態の変化について

[目的]頭頸部悪性腫瘍治療後の後遺症の一に摂食・嚥下障害があるが, その実態を明らかにする研究や誤嚥による嚥下性肺炎などの原因究明, 誤嚥予防法などに関する報告は, 本邦では, ほとんど見られない. 我々はこれらの実態を明らかにし, また患者のQOLを高める方法を検討している. 今回, その手はじめとして舌癌術後患者の嚥下動態を観察し検討を行ったので報告した. [対象]平成7. 8月~平成8. 7月の1年間に手術直前と手術後経口摂食を開始する直前に嚥下機能検査を行った5症例(T2:2例, T3:3例)を対象とした. 全症例で手術前に化学療法と放射線療法が施工され, 手術は5例中4例で舌の半分切...

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Hauptverfasser: 山田信一, 末井良和, 福田登美子, 大谷敬子, 谷本啓二
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:[目的]頭頸部悪性腫瘍治療後の後遺症の一に摂食・嚥下障害があるが, その実態を明らかにする研究や誤嚥による嚥下性肺炎などの原因究明, 誤嚥予防法などに関する報告は, 本邦では, ほとんど見られない. 我々はこれらの実態を明らかにし, また患者のQOLを高める方法を検討している. 今回, その手はじめとして舌癌術後患者の嚥下動態を観察し検討を行ったので報告した. [対象]平成7. 8月~平成8. 7月の1年間に手術直前と手術後経口摂食を開始する直前に嚥下機能検査を行った5症例(T2:2例, T3:3例)を対象とした. 全症例で手術前に化学療法と放射線療法が施工され, 手術は5例中4例で舌の半分切除, このうち2症例で下顎半側切除と広頸筋による再建を, 残り2症例では前腕皮弁による再建が行われた. 残り1症例は舌切除を行っていない. 頸部郭清術は全症例で行われた. [方法]嚥下動態は島津社製X線デジタルアンギオグラフィ装置DIGITEX2400UXを用い35ミリフィルムに30コマ/秒で映画に記録した. 造影剤は, イオパミロン370を用い1回量3ml(2ml), 5ml, 10mlを座位で頭位を習慣位にて嚥下し, 誤嚥が存在する場合は顎引き体位を試みた. [結果および考察]1.初診時と手術前を比較した時, 嚥下反射を起こす前に造影剤が咽頭へ流入し(Premature swallowing), 放射線・化学療法が嚥下動態に影響を与える可能性が示唆された. 2.手術による舌の運動不良のため, 食塊形成が不可能となり一口量を何度かに分けて嚥下する分割嚥下を始めた. 嚥下反射遅延時間も延長し, 誤嚥を認めるようになった. 3.顎引き体位により誤嚥が防止された症例と防止されない症例があり, 嚥下防止の代償姿勢として指導する場合は必ず透視検査を行い確認する必要があることがわかった.
ISSN:0389-9705