顎関節の形態に関するX線学的研究

顎関節の形態異常(変形性関節症)は日本顎関節学会の症型分類でIV型に含まれ, 病態が進行したことによる硬軟組織を含めた顎関節構成組織の退行性病変として考えられており, その病態の診断には, 画像診断が重要な情報を提供している. 臨床においては, 撮影上の容易さから, 多くは下顎頭中央相当部の断層X線写真によって診断がなされている. また顎関節の形態に関しては, 肉眼あるいはX線による観察などにより多数の報告があるが, 従来から変形性関節症の多くは外側に生じるといわれているが, 顎関節を部位別に観察し, 立体的に検討した報告は少ない. 我々はすでに, 内外側において円板形態や骨形態に差があること...

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Veröffentlicht in:歯科放射線 1996, Vol.36 (suppl), p.116-116
Hauptverfasser: 澤田久仁彦, 本田和也, 島田英治, 上野正博, 桑島永治, 荒木正夫, 岩井一男, 橋本光二, 篠田宏司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:顎関節の形態異常(変形性関節症)は日本顎関節学会の症型分類でIV型に含まれ, 病態が進行したことによる硬軟組織を含めた顎関節構成組織の退行性病変として考えられており, その病態の診断には, 画像診断が重要な情報を提供している. 臨床においては, 撮影上の容易さから, 多くは下顎頭中央相当部の断層X線写真によって診断がなされている. また顎関節の形態に関しては, 肉眼あるいはX線による観察などにより多数の報告があるが, 従来から変形性関節症の多くは外側に生じるといわれているが, 顎関節を部位別に観察し, 立体的に検討した報告は少ない. 我々はすでに, 内外側において円板形態や骨形態に差があることを報告した(第36回日歯放総会). 今回我々は, 保存状態の良好な40献体の顎関節について, 単純断層X線写真を撮影し, 矢状断層像を顎関節の中央, 外側2層, 内側2層の計5層に分類し, X線写真上において下顎窩と下顎頭の形態を分類および計測を行い, その結果について年齢および性別に検討した. 撮影法は, 当教室で行ってきた多層断層法(2mm間隔5層法)を用い, 下顎頭外側極と内側極が含まれるように行った. 断層X線装置にはPolytome U(Philips社製)を使用し, ハイポサイクロダイル軌道(振り角48°)により薄層断層(厚さ1mm)を45-55kvp, 50mA, 5secの撮影条件で行った. フィルムは, A-TYPE(Konica製), 増感紙は同時多層断層用増感紙STE-5-2(kyokko製)を使用し, 自動現像機はRPX-OMA Tprocessor(Kodak製)で指定現像を行った. 計測法は, 窩前後径, 窩高径, 窩前方域, 窩面積をPANMEKIATEと山田らの報告を参考にウシカタX-PLAN360を使用して行った. また, 本大学歯科病院に来院した顎関節症患者のうち, 顎関節の形態異常を疑って撮影された106例のX線写真についても, 同様に形態分類と計測を行った. その結果, どの年齢層においても, 顎関節の中央及び内側よりも外側に異常所見が多く認められた. この事から多層断層X線写真の中央のみならず, 外側および内側の所見も重要であることが示唆された. また, 献体例, 臨床例共に女性の方に形態異常が多く認められた.
ISSN:0389-9705