MR画像のいわゆるJoint effusion例の顎関節腔内病変について

顎関節のMR画像において, T2強調像(以下T2W)で関節腔内に高信号像を呈するいわゆるJoint effusionは, 各患者の疼痛が強い側に多く出現することが報告されてきた. 一方, 関節腔内に貯留液が存在するということは, 関節腔内になんらかの器質的異常が生じていると考えられる. そこで, 関節腔内の線維性病変とJoint effusionとの関連について検討した. 対象は, 1995年1月から1996年2月に, 顎関節腔二重造影断層X線検査(以下, 造影検査)を行い, 造影前にMR撮像をしていた136名, 138関節である. 造影検査は, 疼痛側に施行している. 円板転位がなく, 関節...

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Hauptverfasser: 小林肇, 湯浅雅夫, 今中正浩, 五十嵐千浪, 駒橋武, 山本昭, 木村由美
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:顎関節のMR画像において, T2強調像(以下T2W)で関節腔内に高信号像を呈するいわゆるJoint effusionは, 各患者の疼痛が強い側に多く出現することが報告されてきた. 一方, 関節腔内に貯留液が存在するということは, 関節腔内になんらかの器質的異常が生じていると考えられる. そこで, 関節腔内の線維性病変とJoint effusionとの関連について検討した. 対象は, 1995年1月から1996年2月に, 顎関節腔二重造影断層X線検査(以下, 造影検査)を行い, 造影前にMR撮像をしていた136名, 138関節である. 造影検査は, 疼痛側に施行している. 円板転位がなく, 関節腔内病変の検索のために造影検査を行ったのが13関節で, それ以外は復位を伴わない顎関節円板前方転位であった. Joint effusionの判定基準は, T2WまたはT2*で, 明らかな関節腔の拡張と高信号像を認め, T1Wで同部がやや低信号を示すものとした. 造影像では, 癒着と線維化とを関節腔内病変とした. 円板形態はWestessonの分類にしたがい, 円板転位度については, 当教室でこれまでに報告した転位なし, 軽度, 中等度, 高度に分類した. Joint effusion(以下, JE)は, 54関節(39%)に見られ, JEの見られた群と見られなかった群(以下, JEなし群)との間に年齢においては有意差はなかった. JE群では, 34関節(63%)に関節腔内病変を認め, JEなし群の35関節(42%)との間に5%以下の危険率で有意差を認めた. 円板転位度と形態については, 中等度および高度転位でbiconcaveのものと高度転位で円板変形のあるものにJEを有意に多く認めた. biconvexのものはbiconcaveのものよりもJEの出現率は有意に少なかった. JEの出現は, 疼痛のみに関連しているだけでなく, 関節腔内病変や円板転位度, 円板形態とも関連しているが, JE所見単独での関節腔内病変の推定は困難であった.
ISSN:0389-9705