新規変異を伴う家族性protein S欠損症

本邦における血栓症の増加が指摘されているが,本邦で頻度が高い先天性の血栓性素因としては,凝固制御系因子であるアンチトロンビン(AT),プロテインC(PC),プロテインS(PS)の欠乏症が知られている。プロテインS(protein S; PS)は分子量84,000のビタミンK依存性の凝固関連タンパク質の一つで,肝臓で産生される。血中では40%が遊離型,60%がC4b-binding protein(C4BP)との複合体として存在している。PS欠損症は邦人を含めアジア人種において頻度が高い疾患である。今回我々は新規のPROS1遺伝子変異を検出した患者を経験したため報告する。症例は49歳の女性で,肺...

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Veröffentlicht in:医学検査 2024/01/25, Vol.73(1), pp.142-146
Hauptverfasser: 佐野, 智紀, 千種, 恭輔, 宇佐美, 真奈, 服部, 由香, 久村, 千津世, 永春, 圭規, 山本, 美和
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本邦における血栓症の増加が指摘されているが,本邦で頻度が高い先天性の血栓性素因としては,凝固制御系因子であるアンチトロンビン(AT),プロテインC(PC),プロテインS(PS)の欠乏症が知られている。プロテインS(protein S; PS)は分子量84,000のビタミンK依存性の凝固関連タンパク質の一つで,肝臓で産生される。血中では40%が遊離型,60%がC4b-binding protein(C4BP)との複合体として存在している。PS欠損症は邦人を含めアジア人種において頻度が高い疾患である。今回我々は新規のPROS1遺伝子変異を検出した患者を経験したため報告する。症例は49歳の女性で,肺塞栓症の既往歴があり,原因不明の血栓症にて当院血液内科に紹介となった。抗凝固蛋白の検査では,PS活性が著しく低下していた(10.0%)。分子遺伝学的解析の結果,PROS1のexon9にc.1009_1013delGTGAというナンセンス変異が判明した。今回発見された変異は,PROS1のコドン337に変異を生じ,exon9以後の欠失を認めた。同胞の遺伝子検査より,この変異により,PSの機能が低下していると推定された。過去の同ドメインの欠損症例は大部分でtype 1 PS欠損症として発症する。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.23-45