腹膜転移の診断に腹水セルブロック法による免疫染色が有用であった乳癌の2症例

背景:乳癌腹膜転移は稀な病態である。体腔液細胞診において腫瘍の原発巣の推定には細胞診の形態像のみでなく,免疫染色を加えた検討が必要である。セルブロック(cell block; CB)標本の免疫染色が腹膜転移の診断に有用であった乳癌の2症例を報告する。症例1:40歳台女性。左乳腺浸潤性乳管癌にて乳房切除を施行。術後約2年10ヶ月後に腹水が出現した。腹水細胞診(ascites cytology; AC)では偏在性異型核を示す低分化型腺癌細胞が弧在性に認められた。CBの免疫染色では,異型細胞はgross cystic disease fluid protein 15(GCDFP15),GATA bi...

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Veröffentlicht in:医学検査 2018/10/25, Vol.67(5), pp.802-808
Hauptverfasser: 小堺, 智文, 原, 美紀子, 岩本, 拓郎, 高木, 洋行, 桐井, 靖, 太田, 浩良
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景:乳癌腹膜転移は稀な病態である。体腔液細胞診において腫瘍の原発巣の推定には細胞診の形態像のみでなく,免疫染色を加えた検討が必要である。セルブロック(cell block; CB)標本の免疫染色が腹膜転移の診断に有用であった乳癌の2症例を報告する。症例1:40歳台女性。左乳腺浸潤性乳管癌にて乳房切除を施行。術後約2年10ヶ月後に腹水が出現した。腹水細胞診(ascites cytology; AC)では偏在性異型核を示す低分化型腺癌細胞が弧在性に認められた。CBの免疫染色では,異型細胞はgross cystic disease fluid protein 15(GCDFP15),GATA binding protein 3(GATA3),E-cadherinが陽性,ERα,PgRが陰性であり,浸潤性乳管癌の腹膜転移と診断した。症例2:50歳台女性。左乳腺浸潤性小葉癌にて乳房切除を施行。術後約1年7ヶ月で腹水が貯留した。ACでは中型の偏在性核,胞体内に細胞質内小腺腔を示す異型細胞が小集塊状に出現していた。CBの免疫染色では,異型細胞はERα,GATA3,carbohydrate antigen 15-3(CA15-3)が陽性であり浸潤性小葉癌の腹膜転移と診断した。結論:2症例の腹水細胞診において,乳癌腹膜転移の診断にはCBを利用した免疫染色が有用であった。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-56