高度陽圧側にピークを示したティンパノグラムの臨床的背景に関する検討

【目的】ティンパノメトリー(tympanometry; TM)は,鼓膜と中耳の状態を把握できる簡便な検査である。健常者のティンパノグラム(tympanogram: TG)はA型を示し,ピーク値は−100~+100 daPaの範囲とされるが,高度陽圧側にピーク値を示す場合は非常に少ない。我々は,北里大学病院臨床検査部でTMを実施し,A型で+51 dapa以上の高度陽圧を示した例を対象とし臨床的背景について精査したので報告する。【方法】北里大学病院臨床検査部でTMを実施した1,307例(2,614耳)のうちA型を示し,+51 dapa以上の高度陽圧を示した例を対象とし,その検査結果および臨床的背景...

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Veröffentlicht in:医学検査 2018/10/25, Vol.67(5), pp.791-796
Hauptverfasser: 小幡, 進, 岩楯, 欽央, 矢嶋, 正太郎, 佐橋, 久美子, 棟方, 伸一, 石井, 直仁, 狩野, 有作
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】ティンパノメトリー(tympanometry; TM)は,鼓膜と中耳の状態を把握できる簡便な検査である。健常者のティンパノグラム(tympanogram: TG)はA型を示し,ピーク値は−100~+100 daPaの範囲とされるが,高度陽圧側にピーク値を示す場合は非常に少ない。我々は,北里大学病院臨床検査部でTMを実施し,A型で+51 dapa以上の高度陽圧を示した例を対象とし臨床的背景について精査したので報告する。【方法】北里大学病院臨床検査部でTMを実施した1,307例(2,614耳)のうちA型を示し,+51 dapa以上の高度陽圧を示した例を対象とし,その検査結果および臨床的背景について精査した。【結果】対象とした1,307例のうち,TGのピーク値が高度陽圧を示したのは12例で全体の0.9%であった。15耳のうち両側高度陽圧は6耳(3例)で右耳のみ高度陽圧が6耳(6例),左耳のみ高度陽圧が3耳(3例)であった。鼓膜所見に何らかの異常が認められたのは2耳(13.3%)のみであった。12例中4例については複数回の検査を実施していたが,複数回の高度陽圧を認めた例は無かった。【結語】今回の検討結果から,一般的には高度陽圧を示す場合は急性中耳炎などが多いとされているが,他の原因も多く存在する可能性があることが示唆された。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-17