判定に遺伝子検査が有用であったweak partial D type 15の1例

症例は44歳女性。子宮筋腫の手術目的に当院婦人科を紹介受診された。RhD血液型判定において,カラム凝集法は陰性であったが,試験管法による間接抗グロブリン試験で試薬間差が認められたため精査を実施した。抗D被凝集価の測定では,対照のR1R2赤血球に比べ8管差と大幅な減弱を認めた。抗D吸着解離試験では,被検血球から得られた解離液とパネル赤血球との反応において抗D特異性を示した。12種類のモノクローナル抗Dとの反応では,全体的に弱い凝集であったが,partial D category DFRと一致したパターンを示した。総合判定に苦慮したため遺伝子検査を行ったところ,特徴的な845G>A(Gly2...

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Veröffentlicht in:医学検査 2018/10/25, Vol.67(5), pp.785-790
Hauptverfasser: 石井, 隆浩, 小倉, 航, 小島, 直美, 関口, 久美子, 高城, 靖志, 大西, 宏明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は44歳女性。子宮筋腫の手術目的に当院婦人科を紹介受診された。RhD血液型判定において,カラム凝集法は陰性であったが,試験管法による間接抗グロブリン試験で試薬間差が認められたため精査を実施した。抗D被凝集価の測定では,対照のR1R2赤血球に比べ8管差と大幅な減弱を認めた。抗D吸着解離試験では,被検血球から得られた解離液とパネル赤血球との反応において抗D特異性を示した。12種類のモノクローナル抗Dとの反応では,全体的に弱い凝集であったが,partial D category DFRと一致したパターンを示した。総合判定に苦慮したため遺伝子検査を行ったところ,特徴的な845G>A(Gly282Asp)の変異を認めたため,weak partial D type 15と確定した。weak partial D type 15はD抗原の抗原性が弱く,かつDエピトープの一部を欠いているため,反応は弱いがpartial Dに類似したパターンを示す。Gly282Aspの変異部位が膜表面近くの膜貫通ドメインに存在することより,RhDタンパクの高次構造に何らかの影響を及ぼし,このような血清学的特徴を示したと考えられた。本例のように血清学的検査ではRhD変異型間の鑑別が困難な例もあり,遺伝子検査の実施はweak partial D type 15の判定に有用であると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-15