甲状腺機能亢進症を基礎疾患として発症したと思われる両心室型たこつぼ心筋症の1例

たこつぼ心筋症は,一般的に予後良好の疾患である。発症経過は,急性冠症候群と類似しているが冠動脈には狭窄は認めず,その壁運動異常は冠動脈支配領域とは一致しない特徴的な形態を示す。今回我々は,発症時に左室心尖部に加え右室心尖部の無収縮が観察され,その回復期には,一過性の左室心尖部肥大の形態を呈したたこつぼ心筋症の1例を経験した。右室の壁運動異常を伴う場合,左心不全に加えて高度の右心不全を伴うため重症化しやすいと考えられる。この場合,心エコー図検査で右室の壁運動異常を初期の段階で捉えることができれば治療上有用であるが,注目していないと見逃されることもあり注意が必要と思われた。また,本症例は発症誘因と...

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Veröffentlicht in:医学検査 2018/07/25, Vol.67(4), pp.598-604
Hauptverfasser: 黒木, 恵美, 津守, 容子, 渡邉, 望, 清, 真由美, 花牟禮, 富美雄, 渡邊, 玲子, 平山, 直輝, 松尾, 剛志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:たこつぼ心筋症は,一般的に予後良好の疾患である。発症経過は,急性冠症候群と類似しているが冠動脈には狭窄は認めず,その壁運動異常は冠動脈支配領域とは一致しない特徴的な形態を示す。今回我々は,発症時に左室心尖部に加え右室心尖部の無収縮が観察され,その回復期には,一過性の左室心尖部肥大の形態を呈したたこつぼ心筋症の1例を経験した。右室の壁運動異常を伴う場合,左心不全に加えて高度の右心不全を伴うため重症化しやすいと考えられる。この場合,心エコー図検査で右室の壁運動異常を初期の段階で捉えることができれば治療上有用であるが,注目していないと見逃されることもあり注意が必要と思われた。また,本症例は発症誘因として甲状腺機能亢進症の関与が示唆された。たこつぼ心筋症は何を契機に発症するのかはまだ不明な点も多いが,心臓は他の臓器と比較し甲状腺ホルモンの影響を受けやすいため,発症要因の1つとして甲状腺機能の関与も考慮し病因検索する必要があると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-139